【新刊サンプル】Dom/Subユニバース
ドムサブユニバースのミツヤマです。
※作者はDom/Subの知識が漫画二冊分くらいしかありません。
なんちゃってドムサブ程度でお楽しみください。
※長編ではなく、同軸の短編集です。
◆頒布イベント
2022年7月24日 星に願いを。
ミツヤマオンリー
【ハチミツやまもりパンケーキ】
◆頒布スペース
東6 ち07a 【ねんねんごじ】
◆判型・価格
A5 2冊組(もう1冊は別作品です)
500円
鋭意制作中につき、ページ数未定(20ページ以上)
サンプルはどなたでもご覧になれますが、
実際の本はR18です。
◼️chapter.1
秘密で満たして、ご主人様
俺には誰にも言えない秘密がある。
「大和さん、食器自分でしまえよー」
「はいはい」
「ったく……」
ダイナミクス──性別の他に本能づけられた、関係性への欲求──支配されたい、という、「Sub」の性質。
それを、あろうことか、年下のメンバーでこっそりと満たしている……。
「……マジでダメだって分かってんだけどさあ……」
「そうだよ。言われる前に片付けろよな」
「はーい……いつもいつもごめんな、ミツ……」
「ん? おう。じゃ、オレ部屋にいるから。晩飯作るとき呼んで」
「はいよー」
キョトンと目を丸くして、ソファまで俺を覗き込みにきたミツが、スリッパを鳴らして去っていく。まだ、きっと気づかれていない──。
だらしなく振る舞えば、ミツが命令形で、ああしろこうしろとせっついてくる。そのことで少し体が軽くなっていることに気づいたのは、もう、デビューから半年経った頃だった。
どうやら、ミツはDomらしい。本人から聞いたことはないが、Domである弟のイチも、ミツに言いつけはできていないのを見て、それとなく探って知った。ミツは人に強要こそしないものの、支配欲を持っているらしい。
恥の文化の日本では、それほど人前でダイナミクスの話をすることがない。Dom男性向け・Sub男性向けの発散施設やマッチングツールはあるにはあるが、俺は使う気になれずにいた。
両親のダイナミクスさえ知らないのだ。もしそこでSubの女やDomの男と関係を築いて、両親の支配関係に気づいてしまったら。今度こそ、父親を許せない気がした。その関係に甘んじた母親も。二人の享楽の間に産み落とされた、俺という存在も。
……そんな事情で、俺は発散できない被支配欲を、二十二年分持て余して生きていたわけだが……。
「ミツの何も気付いてない命令が気持ちいいんだよな……」
誰もいなくなったキッチンで、昨夜の酒盛りに使った皿を洗いながら、つぶやく。
『大和さんはこういうやつ』と思われているから、あえてだらしなくしても気付かれない。そうやってミツにいちいち命令させて、少しずつ欲求を満たす……習慣化した悪習は、もうやめられそうになかった。
もう一年も、ずるい方法で、俺だけのDomを借りている。
二階堂大和の秘密。それは、ミツは知らない、一方的な、支配関係だ。
*