mottoわたしのにいさん
◼️添い寝素股
おやすみのあとに
もう眠いだろ、寝るまで頭撫でててやるから。おやすみ。
なんて言われて、抱きしめられてベッドに入ったのが、もう二十分は前のことだ。いつもの私ならすぐに寝付けるのに、今日は寝付けなかった。
兄さんに抱きしめられると安心する。しっとりとあたたかい手が後ろから回されて、その手に手を重ねて目を閉じると、ふわふわと夢の中にいるような気持ちになる。
でも今日は、その安心を妨げる要素が、脚の間に挟まっていた。そして、いつも私の胸元に回されるはずの手は、そこにない。
腿に載せられた手が、すりすりと、脚の間を撫でている。
に、兄さん……。
寝ているんですよね……?
「……っ、ひ……」
兄さんの指が、指の側面で腿になにかの線を繰り返し描く。思わず声を上げてしまった。
きゅうと内股に力を篭めると、兄さんがずりずりと額をうなじにこすりつけてきた。髪の生え際に兄さんの髪があたって、背骨のでっぱったところが兄さんの呼気で湿る。くすぐったい。
「……っ、……」
まずい。
兄さんのあたたかな寝息は、規則正しく私のうなじにかかる。兄さんは明らかに眠っている。
今声を上げたら、兄さんを起こしてしまう……。
袖を伸ばして掴んだ手の内側に、ぐっと唇を押し付けた。
「ん、ふぅ……っ、……」
兄さんの両手が、足の間、下腹のきわどいところ、臍のあたり……ゆっくりと、触れる範囲を広げていく。
さらさらと心地いい肌触りの指は、刺激に汗ばんだ私の肌の上を、迷うことなくするするとうごめいた。
「……ふ、っ……ぅ」
くすぐったい……!
びくびくと震える体を縮こまらせて、兄さんの手が落ち着くのを待つ。
兄さんの手を掴んで止めてしまおうか。兄さんに触ってもらえることは嬉しい。けれど、このままじゃ、ここでは処理しようのない現象が下腹部に起きてしまう……。
兄さんの手が、決定的なそこを掠めて、形になり始めた私のものを指の間に挟んだ。かっと頬が熱くなる。兄さん、ごめんなさい、兄さんは寝ているだけなのに。
ふっと、兄さんの吐息が強くうなじに吹きかけられる。
「ひやぁ?!」
両目をきつく閉じてやり過ごしてから、うなじを柔く揉み濡らす感触が、兄さんの唇によるものだと気づく。
兄さんは、わたしのうなじを、子猫が飼い主の指を吸うように、ちゅむちゅむと食んでくる。子猫の兄さん……きっとかわいい……。
ではなく。
「に、兄さん……? 起きてますか……?」
「寝てる~」
即座に、間延びした返事。
「起きてるじゃないですか……」
「起きてることにしていいの? なら、この先もするけど」
「す、すやすや……」
「あはは、かわいい、一織」
兄さんの手が、私の両胸を服の上から撫で始めた。わざとらしい寝息を立てて見せても、私の下がはしたなく濡れ始めていることも、兄さんがくるくると円を描くように撫でて、時折指の腹で摘んだり押し込んだりして刺激してくる胸の先が、尖りつつあることも、変わらない。
……して欲しい。このままじゃ、眠ることなんて出来そうにない。
意を決して呟く。
「……起きてます、兄さん……」
兄さんの両手が、驚いたように止まる。兄さんが体を起こした。衣擦れの音がやけに大きく聞こえる。緊張しているからだろう。
ベッドヘッドの備え付けの電気をぱちりとつけて、兄さんが私の体に影を落とした。
体の前後を挟むように置かれた兄さんの両手に触れたくて、体をひらく。私のものがすっかり勃ち上がって、パジャマを持ち上げているのが見えた。
私に覆いかぶさっている、兄さんのものも、同じように……。
兄さんの真剣な目が私を見つめる。
その目が、可愛くて守りたいものを見る時のように緩む瞬間が訪れた。キスの前の表情。私の大好きな兄さんの顔。
目を閉じると、兄さんの唇が降りてくる。
触れ合った唇の合わせ目を、兄さんの舌が濡らして、思わず声を漏らした口内に、舌が割り入った。
*
明日は仕事だから、抜き合うだけ。でも、ただ触り合うんじゃなくて、一織のこともっと抱きしめながらしたい。
オレの願いに、困ったように眉を下げた一織の頬に吸い付いて、だから横になって、とその体を転がした。
また一織の背に後ろから抱きつくと、オレの股間のものが一織の尻の間にぴとりと押し当たり、一織がきゅんと尻を疼かせるのがわかった。
「パジャマ、汚れちゃうから」
言いながら一織のパジャマのボタンを外し、インナーシャツを胸の上までたくしあげる。一織の両胸の先はぽちりと尖って、いつもは桜色の粒を、くっきりと濃くしていた。
「……はい」
一織はなにか決意したように、喉仏を上下させた。
そうだよ。今からエロいことするんだよ。
うぶな弟は、ピンク色の乳首を勃たせた両胸を、守るように手首で隠した。そんなことしたって、オレに触られたら、呆気なく両手を離してしまうくせに。
ズボンを膝まで下ろしてやる。一織の、既に大きくなっているものが腰のゴムに引っかかって、脱がす時ばるんと弾んだ。
「やっ……」
「大丈夫だよ」
恥ずかしがる一織の頬にキスをしてやると、一織が少しだけ顔を後ろに傾ける。また覆いかぶさって、深くつながるキスをした。夢中で舌を絡ませてくる一織のものに手を伸ばす。
少しだけ、手のひらでその先を撫でると、無意識にだろうけど、一織が腰を揺らして押し付けてくる。気持ちよくなりたい、と体で伝えてくるのが可愛くて、離した唇で、胸を舐めた。
「はぁあ! っん、んぅ、っや、兄さ、んっ」
ちろちろと舌先でくすぐってから、唇で吸い上げ、今度は舌の全面でねっとりと舐める。少しの間の刺激でも、一織のものは可哀想なくらい反応して、粘り気のある先走りをシーツに滴らせた。
唇を離す。オレも下を脱いで、一織を後ろから抱きしめると、一織の手がオレのものに伸びてきた。
「触るなら、こっち」
「前、ですか……?」
「そう」
一織の手を、一織自身のたまのあたりを触るような位置に動かさせ、オレは一織の尻に手をかける。
既に多少の先走りでぬるつくちんぽを、一織の尻に押し付けた。
「えっ!? しないんじゃ……兄さん」
「しないよ。挿入はしないけど」
背骨の出っ張りから、濡れたように黒い髪の根元まで。舌を這わせると、一織は甘く吐息した。あぁ、という、絞り出すような小さな声に、一織の胸が震えている。
指先でその突起をくりくりと転がせば、一織はオレの腕の中で、耐えかねたように身をよじらせた。
……かわいい、オレの弟。
その脚の間に、オレのものを挿し込んでいく。一織が驚いて身を竦ませた。ちんぽの茎の部分で一織の蟻の門渡りのあたりを擦り上げる形になり、一織の息が荒くなる。
「ぃぁっ……!」
首を持ち上げ、一織の表情を見れば、一織はぬるぬるした感触にびっくりしてか、目を見開いている。それからちょっと悔しそうに眉が寄った。目も、ぎゅっとつぶって、怯えたような顔になる。
「初めて、だよな……素股」
「素……」
聞いた事くらいはある言葉だったのだろう。あからさまな隠語に、一織は二の句を継げず口を閉じた。
「前、オレのと一緒に、両手で……触れる?」
「は、い……」
一織の白くなめらかな両手が、一織の脚の間から顔を出したオレのものと、一織のものとにかかる。緊張をほぐしてやろうと、うなじに吸い付いた。
腰を緩く前後させると、一織の脚の間をオレのものが行き来して、一織の陰嚢や腿の付け根をくすぐる。一織はそのたび、甘く喘いだ。
「はっ、やんっ、ぅ……あぁ! 兄さ……は、ぁっ」
「一織……きもちい……好き……一織……!」
「私も……気持ちいいです……兄さん……」
緊張はほぐれたらしい。ほっと眉の力を抜いたような穏やかな声が返ってきて、オレは腰を動かす速度を早めた。
「う、く、んっ! んっ、んっ!」
にゅるん、にゅるん、とオレのものが一織の前を出るたびに、一織が甘ったるく可愛い声で喘ぐ。一織の顔見たい、一織。
「一織……!」
気持ちを持て余して、一織のうなじを甘く噛む。
「ひあやぁ! ……にっ、いさ、ん……!」
疲れたように大きく息をつきながら、一織もオレを呼び返した。びくびくと、体は震えてしまっている。
脚の間を出入りするオレのものを、一織がきゅっと握りこんだ。
「にいさ、ん、気持ち、い、ですか……」
★続きは冊子でお楽しみください。