mottoわたしのにいさん
◼️自慰を覚えた一織は…
兄さんと、わるいこと
「ん……ふ……んん……」
「一織」
「ぁ……んぅ……っ」
甘い口付けに、ふわふわと頭の芯が揺れる。幼い頃からずっとそばにいた大好きな兄さんの体に抱きついて、柔らかくてやさしい兄さんとのキスに目を閉じて浸る時間が、私は好きだ。
好き、なのだが。
兄さん。今日だけはダメなんです。
あたたかな兄さんの手のひらが、私の頬から、鎖骨を超えて、ゆっくりとシャツの合わせ目に降りていき。触れられてはならない場所に、兄さんの手が近づく。慌てて腕で胸元を隠すように押さえた。
「にいさ……っ、今日は、ダメ、です」
キスの合間に小さく首を振ると、兄さんは眉をひそめて唇をとがらせる。ベッドにうずめた後頭部に兄さんの手が回された。ついさっきまで唇を合わせていた兄さんが、きゅるんと大きな目をひからせて、私の胸元から私を見上げてくる。
う、上目遣いはずるいです、兄さん……。
「ダメ? 具合悪い? 熱はないよな」
「そうではない、ですけど……」
兄さんが髪を持ち上げて額を合わせてくる。ああ、おでこの出た兄さんもかわいい……。
ではなくて。
「……その、今日は、……気分じゃないので」
「けど一織、気持ちよさそうだよ」
不審そうな表情の兄さんが、私の腹部より少し下のところに、そっと手のひらを乗せてくる。欲情の証にこもる熱に、かあっと頬が熱くなった。
「あ、いや、あの、これは……反射というか」
「高校生ってそういう年頃だもんな」
「あっ、やっ、兄さんっ、離して……」
「抜くだけならいい? 気持ちよくしてやるからさ」
兄さんのきれいな手がやわやわと私のそこを揉み込む。そこを揉みながら、兄さんは私の髪をゆるくかき混ぜて、指の腹で優しく頭を撫でた。
「ぁ……っ、ぁっ、兄さ……っ、ぁっ」
「うん」
「だ、めです、……っ、んぅ……」
むにりと兄さんの唇が押し当てられて、思わず目を閉じてしまう。ぺろぺろと唇を舐められて、きゅんと胸が疼いた。
「可愛い弟に悪いこと教えるお兄ちゃんでごめんな」
からかうように少し語尾を上げて、兄さんが額にキスを落としてくる。そしてまた、柔らかなくちびるが、ちゅう、ちゅうと私の唇を吸った。
頭を撫でられながら口付けられて、脚の付け根はあわく揉みしだかれて、脚の間に差し入れられた兄さんの腿を、きゅうと締め付けてしまう。
「ぁ……にいさ……んっ、んぅ、っ……」
細く目を開けると、兄さんが目を閉じて私の唇に吸い付いているところだった。丸い頬をぴとりと寄せて、兄さんが甘やかすように私のこめかみに額を押しつけてくる。
兄さん。可愛い。気持ちいい。兄さん。
もういいだろうか、このまま身を委ねて……。
うっとりと目を閉じかけた時。
頭を撫でてくれていた兄さんの手が、シャツの間に伸びた。いつの間にか、ボタンも外されている。いつものように、その手が、胸に……。
「あ……っ、だ、めです兄さん、っ!」
「え……?」
遅かった。
兄さんが、がばりと体を起こして、大きな目を見開いている。
そして私のシャツの間に差し込んだ手のひらに感じているだろう違和感に、私の目をじっとりと見た。
「一織? これ……」
「ゃ、ぁっ!」
くにゅくにゅと、兄さんの指の間でそこを捏ねられる。兄さんが親指をそこに押し付けてから、かりかりと人差し指の先でその先を引っ掻いてくる。アンダーシャツ越しの摩擦に、肩が跳ねた。
「ぁあ、ぁ、っやんっ、あっ!」
胸の突起。尖りの上に貼り付けていた絆創膏を、兄さんの指先が、アンダーシャツ越しにわずかに引いた。胸の表面がぐっと引き上げられて、兄さんの指先が、過敏なところをぐっと押す。
……胸の絆創膏。その存在が、兄さんに知られてしまった。
「一織、シャツ、脱がせていいよな」
「……はい」
兄さんの顔が見れない。顔を背けたまま、兄さんの指がぷちぷちとボタンを外していくのを、いたたまれない気持ちで待つ。
兄さんにだけは、バレたくなかったのに。
シャツを暴かれ、アンダーシャツもまくりあげられて、みっともない姿でベッドの上で胸元を晒している。両胸の先に絆創膏を一つずつ貼り付けた姿を。
何を言えばいいかわからなくて、唇を噛む。
★続きは冊子でお楽しみください。