恋をしている
5.波に射す
大和さんの肉体が、股間の上で、それまでの大和さんじゃないみたいになまめかしく動いた。擦り付けられた尻のやわらかさに、ぎゅっとそこに血が集まっていく。
そんなことされたら。
「だっ、めだって、オレ……あんたに」
両手の甲を額に押し付け、顔を覆った。
「あんたに好きになってもらえたのがうれしくて、どうしていいのかわかんなくなっちまったんだよ」
あんたがどうしたいのか分からなくて、あの日、文字通り体当たりでぶつかった。そのとき携えていたバズーカは、いま大和さんの手にある。丸っきり逆転してしまった。
けれど、変わらないこともある。むしろ、もっと強く思うこと。
大和さんと繋がりたい。
「今だって……めちゃくちゃ嬉しい。あんたが、オレに……オレと同じ気持ちでいてくれたって、分かって」
自然と盛り上がってくる場所を、大和さんは体で感じているだろう。頬が熱い。顔から火が出そうだ、だって好きな人がオレのちんぽの上でケツ振って、オレが興奮してんの見て、こんなに嬉しそうに、目、細めて……。
あえぐように息を吸った。いっそ苦しいほど繋がりたくて、悲痛な表情になっている気がする。
「たぶん、……めちゃくちゃにするよ」
はっきりと告げたつもりだった声は、最後の方はささやき声になってしまった。緊張にか細く開いた喉で、胸を大きく上下させ、無理やりに息を吸う。
大和さんがその胸に、つう、と指を這わせた。
指が。
震えている。
「……めちゃくちゃにして」
大和さんがバズーカから手を離す。
顔に近づいてきたのは、大和さんの唇。突き出した舌に、唇を舐められる。
オレが口を開いてその舌を迎え入れるのに、そう時間はかからなかった。
唇が離れるとき、自然と目が合う。唇を合わせる間、固く閉じていたはずの瞳が開いて、じっとりと濡れてオレの視線を受け止めた。
泣き出してしまうかと思った。この人は、今、本気でオレを欲しがってくれてるんだ。こんなに緊張しているくせに、ちゃんと思いを言葉にして。他の誰かじゃない、オレだけを。
「……いい?」
腰を抱く指が震えた。大和さんの影がもう一度大きくなって、オレの影を飲み込む。
オレの上でつばを飲み込む、喉仏の上下する音が、その後の吐息がなまめかしくて、瞬きも出来ない。
大和さんが腰を動かし、硬いものをぐっと押し当ててくる。同じ熱さと質量を持って、オレたちの間に盛り上がるその場所は、男だからこそごまかしようのない、お互いへの欲求を示していた。
身をかがめた大和さんの唇が、オレの頬を素通りして、耳のふちに触れる。なまあたたかい吐息が、耳の産毛をくすぐった。
かすかで、甘い、声が響く。
「お前さんが欲しい」
顔を離す大和さんの横髪が耳のふちをかすめたとき、オレは自分の手を、その人のズボンの中にすべりこませた。