32SS
◆「~~~っ♡♡♡」完結編 だめ……じゃないだろ
「ん……ぁ、っう……」
アルコールの味が、口内を満たす。ほのかな酔いに、絡め合わせた舌の苦ささえ心地よくて、大和はうっとりと目を閉じた。
ミツの舌、熱い……。
「なぁ……しよ……」
「ん……そのつもりで来たから……」
「さすが……大好き、大和さん」
三月のズボンに手をかけると、中のものがもう反応していて、大和は知らず喉を鳴らした。
脱がせると、三月のベッドに預けた背中に、三月の腕が回される。再び唇が合わさって、水音を立てた。
「はぁ……ぁ、ぁつ……」
「オレも……あつい……」
舌を離して身をよじり、自分もスキニーを脱ぐ。三月も首を振って横髪を散らした。そのあとで、大和にもたれかかってくる。胸元に鼻先を近づけて、すりすりと額を擦り付けてもきた。
「あ……ミツ? 三月さん……」
「んー……」
「ちょ、今、脱いでるから、っん」
「うん……」
シャツのボタンを外していく大和の反った胸に、三月は何度もキスを落とした。次いでとばかりに指もくわえて、ちゅむちゅむと柔らかな唇で啄むように肌を吸われ、大和が眉を下げる。
「っあ……」
大和のみじろぎに、ついさっきまで飲んでいた缶ビールが倒れ、軽い音を立てて床を転がっていった。
三月がちらりと大和を見上げ、アンダーウェアを唇で噛んで引き上げる。
「ば……っんあ! やっ、だめだって」
「ふぁめ?」
三月がきゅるりと大きな目をきらめかせた。咎めながらもその目で見つめられると言うことを聞いてしまう、いや別に何も言われていないのだが。
……ほんと、ずるい……。
思惑通り顎の下にアンダーウェアを挟んで押さえた大和を見て、三月は嬉しそうに大和の顎に口付けた。三月の舌は、顎の裏を通って、喉仏を撫で、鎖骨へと降りていく。
「このやろ……っ、ぅん、っはぁ、あ、ん」
大和の胸の横をなぞって、三月の舌が軽く胸の尖りをつついた。
中途半端に脱げたシャツが腕に絡まる、それを脱ぎ切ろうと大和が背中を攀じるほど、三月の舌先が大和の胸の粒を撫でた。
ざらつく舌の表面で、敏感なところをぬりゅぬりゅと擦られる。大和がギュッと目を閉じた。
そんなに激しくされたら……!
「やあ、っあ、ああん!」
「あはっ、可愛いな」
「バカ……っ、う、ん……やだほんとやめて、もっ」
「なんで? これからエッチするんだから、もっと舐めての間違いだろ」
尖らせた舌先で、三月が大和の乳首をこりこりと転がす。腰の下まで刺激が走り抜けていくような感覚に、大和は髪を振り乱した。
あぐらをかいた脚の間で、押し上げられた布が湿っていく。大和の脳から溢れ出る快楽を余さず受け取り、大和のものは大和の尻の間まですっかり蜜で濡らしてしまった。
「あ、っあ、あ、あぁっ、やぁ!」
「やだやだ言い過ぎ」
三月に唇を塞がれながら、大和が後ろ手にシャツを脱ごうともがく。顎の下に押さえていたシャツがはらりと落ち、三月の両手が、大和の服の中に滑り込んだ。
「んっ……んん、ふ……」
くりくりと、三月の親指が大和の乳首を捏ねる。
大和のかすかな喘ぎ声が鼻から抜けるたび、三月は大和の髪を撫でて口づけを深くした。
がっつきやがって……、もう、いきそう……。
「あぇ……ヤバ、ぁ……脱げな、んむ」
「んっ……はぁ、いいよ……脱がしてやるから」
ようやく解放された唇を尖らせる大和に、三月はにやりと唇を緩める。
「あれ……」
三月が片眉を上げるのを、大和はまつ毛の間に霞む視界で見た。
「どしたの……」
「大和さん、これ取れないっぽい」
「は……ぇ……?」
ぼんやりとキスの余韻に溺れている大和の頬に、三月がぴとりと頬を合わせる。大和の背中にまわした両手をなにやらごそごそと動かしているが、大和の体はきつく締め付けられる一方で、まとわりつく衣類は脱げそうにない。
「ブレスレットが袖に噛んじゃってて……服とか壊れんの勿体ないだろ? とりあえず一旦落ち着けて……」
「やっ……やだ、だめ」
「だめ?」
「ミツがあんなキスするから、もう我慢できないっつーの」
大和は両腿で三月の腰をむにゅりと締め、足だけで抱きついた。大和の勃起したものが、三月の同じく立ち上がったものに硬い存在を主張する。
はぁ、と吐く息が熱い。大和はうっとりと目を細めた。
「先にイかせてやるよ」
「余裕じゃん」
「お兄さんなんで?」
「はは、いつまで続くかな……服、シワにならねえ?」
「いいから……ミツ、俺の上来て」
ベッドのふちに預けていた背中を床に倒して、大和が三月を流し見る。三月の細い首にくっきりと浮かんだ喉仏が、明らかに上下した。
「ん……そっちじゃなくて、そう……」
三月は言われるがまま大和の顔をまたいだ。大和の期待に濡れた下着が、鼻先でいかがわしい匂いを放つ。
「ん、よくできました?」
「何する気だよ」
「俺、手使えないからさ。口でしてやるよ」
「なんだよ。サービス満点じゃん」
フェラなんかしたことないくせに。あんた、そんなことどこで学んできたんだよ……。
三月の半眼を受け止めて、大和は嬉しげにウインクして見せた。
「ミツが先にイッたら明日ぶり大根な」
「はいはい。大和さんが先にイッたらどうすんの?」
「んー……朝フェラしてやろうか」
「そんなの、仕事行けなくなるっての。明日の晩飯一緒に作ってよ」
「ん」
大和が唇で、下着越しに三月のものをふにふにと押す。思わず腰を引いた三月を、大和は緩んだ瞳で眺め下ろした。
手を拘束されているのに、悠然と、捕食者のような笑顔で。
「ほら、脱げよ」
*
「はぁ、あ、っ、大和さん……っ、いい、きもちいい」
三月の声が時折気持ちよさそうに抑揚するたび、大和の後ろがきゅんと三月の指を締め付ける。
「ぁ、っ、きもちい? きもちいい? み、ミツ、あ」
後ろからの刺激に大和の脚が内股に揺れる。三月は大和のものを片手に握り、快感に眉を寄せた。
「んひゅっ、すげえ、きもちいい……っあ、あぐ」
耐えようと腿に力を込める三月のものを喉まで咥えこみ、舌の奥で亀頭を包み込んでやる。たっぷり溜め込まれた唾液にあたたかく迎えられ、三月の脚が頭の横でびくびくと震えた。
「あは、かわいー……」
「る、せ……んっ、なん、でこんな……上手いの……、オレとしかしたことないくせに」
「んふ、っ、ん……ミツに、もっと良くなってほしくて、練習してた」
じゅるりと舌を絡めてふたたび口内に三月のものを迎え、大和が頬をすぼめてみせる。きつく吸われる気持ちよさが腰の奥に溜まって、三月は眉を寄せた。
「練習、って……っぅん、んあっ、はぁ、」
「おとなしく、好きにされてなさい……ん」
「ぅあっ! やば、っあ、は、ぁ……う」
その喉奥を突き上げたくなる衝動をこらえながら、三月は大和の下着を強引に引き下ろした。ゆらゆらと腰をそらして、大和のものは誘うように揺れている。
やられっぱなしは性にあわない。大和のものをくわえようと尻を掴んで引き寄せる。と、大和が体を逸らした。
「ん、っはあ、大和さん、さあ、舐めながら腰揺れてんの、気づいてる?」
「ん……ふぅ……ん」
「聞いてないし……」
大和のものは、大和が腰をくねらせるたび、へその辺りにぼたりと透明な液体を滴らせ、三月のものを舐める喜びに浸っている。
そんな、夢中になって舐めて……。口ん中まで気持ちいいの? 舐めながら、自分も気持ちよくなってるとか、エロすぎるだろ!
「ん、んん!?」
「は……大和さんも、きもちよく、してやる……から」
「ぁばかっ、やめろって……!」
突然腕で腿の裏を押さえつけられ、尻も局部も三月にさらけだす姿勢にされて、大和が足をばたつかせる。三月は構わず大和のものに舌先を伸ばした。
ちろちろと先端をくすぐり、裏筋を舐め上げる……大和の感じる部位を知り尽くした三月の動きに、大和がせつなく喉をふるわせる。
「んああっだめ、だめだめだめ」
口早に戸惑いを告げる唇の端から、ごぷりと唾液が溢れ、大和が咳き込んだ。
「大丈夫かよ」
「だ、いじょうぶじゃなっ、あ、あはァあ」
前を吸われながら、後ろの気持ちいいところをひっかくようにもどかしく押されている。押し出され吸い上げられる、外と中からの責めに、大和の脚ががくがくと震えた。
「あぐっ、いっ、い゙」
「ん……っ、んむ……」
三月のものに奉仕する舌の動きもすっかり拙い。たぐりよせた三月のものへべったりと頬を押し付け、大和は目を閉じて高く啼いた。
「あぁいっちゃ、イっ、ちゃ、うから……だめ! ミツ……!」
「んん……」
「だめだっ、んあっ♡ほん、と……いぎぃ、っぐ」
ぞくぞくと立ち上るような快感と、ぐんぐんと押し出すような快感が、同時に大和の体を駆け巡る。
出したい。
出したい、いきたい、いきたい、いきたい……!
ほかの何も考えられない。腕を拘束されているせいで、いつもより逃がしづらくなった快感が、体の中にどくどくと溜まっていくのがわかる。
全部ゆだねて、いっぱいの快感を全部、吐き出して、ミツの指で犯されてるって、もうミツじゃなきゃだめって、脳みそまで分からせて……。
閉ざした目の奥にかすかな絶頂の光を感じかけた時、三月の指がずるりと、後ろから引き抜かれた。
「ぁ……なんで……」
ひくひくと自分の後ろが収縮して、三月の指を求めるのを感じる。
三月が大和のものから唇を離す。
「オレのこと、先にイかせるんだろ?」
言いながら、三月は大和の上からどいた。震える大和の脚を解放し、だらりと伸びた大和の脚を、今度は正面から掴んだ。
「中で搾ってよ」
目じりの涙に口づけて、三月がまっすぐに大和を見つめる。息を整え、大和が口元の三月の体液を拭った。
「ミツ、俺の……ナカで、イくの、好き、だもんな?」
「うん。大好き」
「ふ……素直でよろしい」
大和が首を伸ばして、微笑みの形の唇にキスをねだる。背中を撫でてやると、大和が後ろ手にしがらめられた手で、三月の指を甘えるようにつかんだ。
素直なのはどっちなんだか。ほんと、甘えんの、上手くなったな……。
大和の背中を起こしてやりながら、三月はもう一度その唇に触れた。
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