方舟Ⅱ_恋に落ちるテンカウント

「やまとさーん、ついでにバターとってー」
二日酔いからどうにか回復したばかりの頭を覚まそうと、酒を取りに冷蔵庫を開けると、ミツが背中にどんと背中をぶつけてきた。見ると、大きなボウルに、大量の小麦粉を量り入れている。
「なんか作んの? つまみがいいな」
「いきなり飲んでんじゃねえよ。昨日、あんた運んで帰るの大変だったんだからな」
「あー……けさ二日酔いきつかったんで、もうあんなには飲まないです……」
「ふーん。まあいいや、オレこれからケーキ焼くから。陸と環のリクエスト」
「へえ。え、今から? もう4時じゃん」
「そう。だから晩飯は出前な。今夜チョコ作るつもりって話したら、これも食べたいーってラビスタのケーキの写真見せられてさー。こう、年下の圧が……」
「燃えちゃったわけね」
「そりゃ、うちの子らがメロメロで、『これ美味しそう』『みっきーなら作れんじゃん』『三月ぃ』だぜ?」
「あいつら、年々年上のころがし方が上手くなっていくよな」
「うちの王様は酔った壮五だけどなー。ほい、じゃ、大和さんは小麦粉担当」
「は?」
「ふるってください」
「いや、お兄さん今からソファで昼酒……」
「大和さぁん」
「おねだり声出してもダメ」
「陸も環も帰ってきたら、これ大和さんが作ったの、ヤマさんお菓子も作れんの、って、うっとりしちまうだろうなあ……」
「……お前な」
「一織と壮五とナギ、今日はアイナナ代表でクイズ番組行ってるし、たくさん頭使って帰ってくるだろうなあ」
「……わかったけど」
年上の転がし方が上手いのはお前だろ、と言いたい気持ちを飲み込んで手を洗い、ずしりと重いボウルを受け取る。ミツが片手で扱っていたのが信じ難い重さだ。この寮では、年下の方が強いらしい。
「ミツはどうなの」
「え、オレ?」
「俺の作ったケーキ、食べたい?」
作業場を求めてテーブルへ歩きながら尋ねる。背中越しに、弾んだ声が返ってきた。
「食べたい! 作って!」
「はいよ。じゃ、作りますかね。ミツが食べたいのは?」
テーブルには、さらに大きなボウルと、ざるがすでに準備されていた。この上でふるいにかけろということらしい。
「あれ、片手ふるいなかったっけ」
「ガシャガシャやるやつ?」
「そう、掴むとふるえるやつ」
「あれ、大量にやると腕死ぬぞ。ちょっと飛び散るけど、ザルにしとけよ」
「んー、いや、今日リクの帰り早いだろ。腕もそんなやわじゃないですし」
「じゃー片手の、カウンターの下」
「はいよ」
ミツの指示通りの場所から目当てのものを取り出し、使わないざるをしまう。大きさ順に重ねたザルやボウルの上から、なぜか斜めに突っ込まれていた調理器具は、ミツが適当に押し込んだものだろう。妙なところ大雑把なんだよな……。
「オレが食いたいやつは、今はチョコ系かなー、大人っぽいやつ。フォンダンショコラとかどう? 中がとろけてるやつなんだけど」
「ああ、映画で見たことあるな。キレたおっさんがケーキの真ん中に手突っ込んで……」
立ち上がると、カウンター越しにミツが、映画で見たのと同じ仕草をして見せる。
「『中までトロトロだ!』」
「……ごめん、俺は字幕で見た」
「だと思った。字幕で見てたら環が寝ちまって、起こして吹き替えにしたんだよな」
眉を下げ合い、それぞれの作業を再開する。片手用のふるいに小麦粉をすくい、グリップを握り込むと、予想外に重い。
ミツは涼しい顔で、何かしらの白いものを、ホイッパーで泡立てている。電動のやつ使えばいいのに、と職人に口を出して余計なことになるのは避けたい。がしょがしょと粉をふるいながら、作業と雑談に専念する。
「あれ結構序盤だろ?」
「環が起きてたの、チーズサンド焼くところまで。腹減ったーってうるせえから、一時停止して同じの作って食わしてやったら、腹いっぱいになったみたいでさ」
「何それ、お兄さん食べてない」
「夜だったけど、あんたは仕事行ってたからな。一織もつられて、カロリーが……とか色々言いつつ食ってたな。ああいうの、焼きたての匂いが卑怯なんだよな」
「あ、帰ってきた時やたら腹減る匂いしてたの、それかよ」
「それそれ。あー、言ってたら腹減ってきたあ。今すぐ食いたい……」
「言いつつ手は止まんないの、さすがだよなあ」
「もう本能で作れるもん。あ、フォンダンショコラ作るならココアいるわ」
「ん? 飲み物入れんの?」
「粉の。あんた、小さい頃、魚は切り身で泳いでると思ってただろ」
「いや、まるまるお頭付きの魚、食卓に出てた」
「坊ちゃんめ……メロンも半玉スプーンでほじくって食べやがって……」
「ミツとイチがいろいろ分け合って食べてたみたいな話の方が、お兄さん、良いなと思うけど」
「それとこれとは違うじゃん。夢なんだよ、一個まるまる独占って。兄弟いると特にさあ」
「ふうん」
ふるいの底に残った粒を持て余し、スマホを取り出しながら、たずねる。
「一個まるまる独占、する? ケーキ、ミツのためだけに作るよ」
「いいよ、オレは。みんなにも食わしてやろうぜ」
「そ。……あ、レシピあった。一人暮らしの味方」
「見してー」
「ええ……なんかこの人に悪い気がする、プロにレシピ見せんの……」
「大丈夫だって。……いいじゃん、ちゃんとしたやつ。この通りに作れば美味しくできるよ」
「ちゃんとしてないのとかあんの?」
「フォンダンショコラって手順多いからさ、省略してやっちゃおうみたいなレシピがあって、そういうのって生焼けで美味しくないんだよ」
「へえ。詳しいなー。……よし、覚えた」
スマホを置き、さて粉はどうしようかと、ふるったあとのボウルを手に取る。ゆすると、ボウルの壁にふわりと積もった粉がバラバラと砕けて落ちて、ちょっと面白い。
「さすが。ま、焦げても生焼けでも大丈夫。なんとかなるって。オレがついてっから!」
「ははー。三月様」
「よいではないか、よいではないか」
「悪代官顔、どっちかって言うと俺なんだけど」
「でもオレは大和さん脱がせたいよ」
「っ……っぶないでしょうが! ボウル落とすかと……」
抗議の目を向けると、ミツはちょうど、手の甲についた白い泡を舐め取るところだった。
ちゅ、とあまい音がして、ミツの舌が、手の甲の節を舐め、吸う。
あえて見せつけているのか、無意識なのか。大きな目にはなんのからかいも浮かんでいない。おそらく後者だ。
俺だけが慌てているみたいで、いやになる。
「……ケーキ、作るので。今は」
「はあい。じゃ、あとで食べよっと」
「お前さんね……」
「独占させてくれるんだろ?」
「ケーキの話だっての。……はー、もー、レシピ飛んだわ……」
「手取り足取り教えてやろうか」
「ヤラシー言い方すんなよ」
「ヤラシーこと考えてるもん」
「……自分でやります」
「つーかあんた、手止まってんじゃん」
「あ、底の粉ってどうすんの?」
「そんなん指で潰して押し出せよ」
「ええ……なんか汚い……ヘラとかでもいい?」
「いいけど、別に変わんないって。さっき手も洗ってるし、どうせ焼いちまうんだから」
「ミツ、そういうとこあるよなあ……」
ため息をつきつつ、言われた通りにふるいの中に手を入れる。粉の塊は、思っていたより柔らかく、指の下で潰れて、押し出された。あんなに頑固にとどまっていたくせに、ほんのひと押しで落ちてしまうところに、なんとなく気まずさを覚える。おい、もっと頑張って耐えろ、と言ってやりたい気持ちを抑え、ミツの言うままに作業を終えた。
粉をふるい、ミツのためのケーキも焼き上がる頃には、ミツの予言通り、すっかり腕が痛くなっていた。
「おおー、できたじゃん! ばっちり。あんた、ほんと器用だよなあ」
「ミツのがすごいでしょ、またかわいいデコレーションしちゃって」
「あはは、つい力入って……」
子供らのリクエストだというケーキは、俺の作業の間に冷まされ、さらにミツの手で砂糖細工を施されていた。空中に垂れるレースのような細工が、いつものキッチンでできあがっていくのを、俺も息をのんで見守った。
こんなふうに綺麗に飾られて幸せ者だな、と声をかけても、ミツはじっと息をひそめていた。
いつも活発で、たくさんの相手によく喋るミツが、作業や仕事には真剣になって、一人で向き合う姿は、胸のどこかをちくりと刺した。ずいぶん前に、同じようにミツに嫉妬を覚えた時は、ミツの真剣さが羨ましかった。けど今は、多分、ミツに真っ直ぐ見つめられて、ミツの手で作り上げられていく、ケーキの方に、胸を刺された。
気持ちのやり場を求めて視線を彷徨わせると、作業場の隅に、ラッピングされた小さな箱がある。
「あれ? こっちのは?」
「ん? 好きな子に。特別」
「誰だよ、もしかして共演の……あ」
ついいつもの軽口を叩きそうになり、途中で気づいてしまったことを後悔した。
急に、いま、寮に二人きりなことを、思い出してしまった。
「俺か、みたいな顔してんなよ。あんたしかいないって」
「……すいません」
唇を噛むと、ミツは困ったような顔でエプロンを外した。ピンで前髪を留めた額に、すこし汗が光っている。
「あやまんなくていいけど……口開けて。味見さしてやるよ」
冷蔵庫から、バットに敷かれたチョコを取り出して、ミツが楽しげに見上げてきた。つまんだ指先に、柔らかいチョコが、くにゃりと少しゆがむ。自分がいつか陥る未来のの隠喩のように思えて、唇がわなないた。
「うえ……」
「人の作ったもん見てうえとか言うな」
「いや違う……おいしそうなんだけど……むねやけが……」
「まだ食ってないじゃん」
「甘いのはお前さんだから……」
「なに? くどいてんの?」
「そっ……そういうのをヤメロっつってんだよ!」
「うははは! かぁわい……ほら口あけろってー」
「はー……」
ため息のために開いた口に、容赦なくチョコレートが突っ込まれた。
「ん、酒の匂い……え? 日本酒?」
「正解! 塩と日本酒の生チョコ。超自信作!」
「えー……こんなんあんの、うま、ミツ天才じゃん」
「うはは、努力なら負けないかもな。もう一個食う?」
うきうきと誇らしそうに、ミツがチョコをもう一つつまむ。おかわりを受けようと、ぱかりと口を開いた。
「ん」
「ほい。……もう、人の手から食うの躊躇わないんだもんなあ」
「ん?」
「なんでもありませーん。何この無防備な人、食ってやりてーって言ってただけです」
「んっ、んぐ、ごっほ! げほ、ごほ」
「あはは、大丈夫か? ほら、水飲んで……」
急な発言にむせたところに、ミツが渡してきたグラスの中身を煽る、と、喉がカッと熱くなった。
「っあぁ! っげほ、げほ!」
「あ。ごめん、それ後で自分用にも作るつもりで除けてた日本酒だわ…………」
「……っあー、や、うまいから、いいけど、っはぁ、死ぬかと思った……」
一通りむせて、改めて日本酒を口に含み直す。と、ミツがミネラルウォーターをついだグラスを渡してきた。
「悪かったよ、今度はちゃんと水だから……」
「信じらんねー……」
「毒見でもしろってのかよ。人の作ったもんは疑いもしないで食うのに」
「だって、うまいって分かって……。……なんか恥ずかしいこと言わされそう、もう飲みます、黙って」
「ふふ」
チョコを褒められて嬉しいのか、俺のみっともないところを見て満足したのか、両方か、ミツがにんまりと笑んだ。
それから、シンクに尻を預けて水を飲む俺を、両腕の間に囲う。
大きな瞳が、抜け目なく煌めいて、俺を見上げた。
「大和さんの好きなのなんか、全部知ってんだから。逃がさないよ」
「はああ……うわー……」
「そろそろ粗熱取れたっぽいし、こっちも味見する?」
「や、いい、ミツが先に食って……」
俺の作ったフォンダンショコラを指さしたミツに、体を返して背中を向ける。体を離してケーキを手に取るミツを横目に見ると、カップの小さなひだのひとつひとつを、指先でつまんで下ろしていく姿が見えた。
まるで、脱がしてでもいるみたいな……。
「あ」
「あ!?」
「え!? 何だよ、でかい声出して……」
「ああいや、なんでもない……。ミツこそ何?」
「粉糖振ってなかったから。今度ポルボロン作ろうと思って、プードルデコール買ってあるんだよなー」
「ポル……何? 犬か?」
「溶けない粉砂糖な。ポルボロンはお菓子の名前」
「はー。プロだねえ」
「知らないもんに全部同じ反応すんの、おっさんくさいぞ」
「急に鋭いこと言うのやめてくんない?」
いつもの空気に戻ったことにほっとしながら、ミツの手から何かのケースと、茶漉しのような道具を受け取る。
「これ、フォンダンショコラにかけてやって。見た目華やかになるぜ。あと、出来上がったぞーって気分になる。せっかく初めて作ったんだからさ」
「ああ、なるほど……どの辺にかけんの?」
「まあ、端っこでも、真ん中でも? よく見るやつみたいな感じ」
「よく見るってほど、チョコケーキとか見ないけどな」
受け取った筒を茶漉しに向けて傾け──る瞬間、やばい、と脳が気づいたのに、手が止まらない。目の前のミツの口が、あ、の形に開くのがやけにはっきりと見え、茶漉しを通過した粉糖の多くが、床に散った。
「下になんか敷いてるとこじゃないと、こうなるんだよなー……」
「うん……ごめん……」
ふきんを片手に二人で這いつくばり、意外に広く散った粉を拭く。と、チョコのかけらが、ミツの体の向こうに落ちているのが見えた。さっきミツに教わりながら作っているときにこぼしたんだろう。
拾おうと半身になって手を伸ばすと、ミツも、俺の後ろに何か見つけたのか、体を傾けた。倒れる、と思った瞬間、何かに襟元を強く引かれ、気づけばミツが、腕の下にいた。
顔が、近い。
「ぁ……」
思わず漏れた声が、息が、たぶん、ミツの唇にふれた。
ミツの大きな瞳が、目の前できらめく。たっぷりと、蛍光灯の光を受け止めた瞳に、吸い込まれるように……。
「ただいまー! 腹へった! いい匂い! 何!?」
バタバタバタ。賑やかな声と足音が、リビングに駆け込んできた。と同時に、肩に衝撃。変な姿勢で、床に二人で転がる。
「ただいま帰りました。たまたまそこで四葉さん達と……兄さん? 何かあったんですか……?」
「何でもない、何でもない! はは、やー、ちょっと大和さんとこう、ぶつかって跳ね飛ばしちまって……な?」
「そうそう、ミツが突進してきて……タマ、テーブルにチョコケーキあるぞー。フォンダンショコラ」
「ふぉん……? みっきーといおりんの家?」
「うちはフォンテショコラです。ほら、四葉さん、手を洗って」
「わぁってるよ。りっくん入んなよー、ヤマさんとみっきーが粉まいてる」
「はーい! この匂い何だったー?」
「みっきーの、フォンテなんとか!」
「フォンダンショコラです。なにも合ってないどころかさらに間違ってますよ。そんなんじゃ、メッゾでクイズ番組に出たとき勝てませんよ」
「そーちゃんが解いて俺が走るやつばっかやらされるから平気」
「ああ……」
声が遠のいていく。向こうのほうで、ソウやナギの笑い声もした。
ミツの深いため息は、誤魔化せた安堵というよりも、何かを取り逃した悔しさのような長さだった。
体を起こすと、くらりと、少し視界が揺れる。急に動いて、アルコールが回ったらしい。
俺の様子に気づいてか、ミツがさりげなく、肩を貸すように隣に座った。
つい昨日、酩酊しながら感じた熱を思い出し、一緒に、なにか聞かされたことも思い出す。無防備だと襲うとかなんとか、言っていたような……。
「なー、ミツってやっぱ、俺と、そういうこと……」
左肩を支える熱が、じり、とみじろいだ。それから、熱い手のひらに、手の甲を覆われる。指の間を、くすぐるように、指がなぞった。
「っ……!」
「言って欲しい?」
「や、いいです。いいです。酔ったんで風呂行って寝ます」
「晩飯食えよ」
「晩飯も食って寝ます」
「歯も磨けよー」
「歯も磨きます」
「添い寝してやろっか。大和くん」
「いらねえよ! ガキ扱いすんなっての」
立ち上がろうとしても、ミツの手は手を離そうとしない。まだふらつくだろうから座っていろ、というつもりなのだろう、でも一刻も早く離れたい……。焦れったい気持ちに、しかし、酔いが、妙な思いつきを混ぜた。
反撃してやればいいのでは?
ミツがたじろぐところは、おもしろいのでは?
……抵抗する動きを止めて、ミツのほおに、空いた手を添える。
じっと見つめてやると、ミツは案の定、戸惑いの声を上げた。
「えっ」
「お兄さんが大人だって、教えてやろうか。ほら、ここ、酒の味するよ」
なんだ。
初めからこうすればよかった。
ちろりと舌を覗かせてから。ちゅう、と唇を合わせて、わざとらしく、ミツの耳元で水音を立てる。
熱い息を耳に吐きかけてやると、ミツが、ギュッと身を縮み上がらせ……ばっと立ち上がった。
「……酔っ払いに絡まれたっ! 風呂入って寝る!」
「え!? 三月、ごはんは?! もう一織がお蕎麦頼んじゃったよ!」
「届いたら食う!」
ちょうど、リビングに入ろうとしていたらしいリクとすれちがい、ミツはどこかで聞いたような問いを投げかけられていた。さらに洗面所から来たらしいタマにも声をかけられる。
「みっきー、そーちゃんが、俺の歯磨き粉なくなるってー」
「買ってこい!」
ばたばたと走って逃げていく背を見送って、その耳の端の赤さに、胸の奥がくすぐったく疼く。
酔いが手を貸して、愉快さがさらに大きくなった。好きな相手をからかう楽しさ。ミツは、こんなことをずっと俺にためしていたのか。
「……はー。楽しー……」
「ちょっと。兄さんに何したんですか……」
不審そうに見下ろされ、上機嫌なまま立ち上がった。
「やー、はは。お前さんも今度やってみろよ。耳元で、チュッ」
「ちょっ! 急に顔を近づけないでください!」
「あははっ! はあ。酒飲もっと。ソウも付き合えよ」
「大和さん、お夕飯前に飲むと、三月さんに怒られるんじゃ……」
「怒んない怒んない。今あいつ、俺に弱いから」
「なんそれ。ゲーム?」
「そ、どっちが根負けするかゲーム。今は俺が優勢」
「二階堂さんが勝ちにこだわるの、珍しいですね」
「んー、まあ、多分負けるけどな。はー。いい酒飲めそう」

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