方舟Ⅱ_恋に落ちるテンカウント
(中略 ※長めの濡れ場です)
「あー……やったな」
「やったなあ……」
三月の言葉に答えながら、はだかのまま、三月のベッドの上に寝転んで、床へ足を投げ出して。
二人きりの寮とはいえ、大声をあげて乱れたり、服も着ないで転がったりしていることが、現実じゃないみたいに思えた。
「えっと、どうすか、感想とか」
「え? 聞くのかよ。気持ちよくてやばかったです……」
「あ、俺もです……」
ずっと同じ姿勢でいたせいか、本来入れない場所に入れないものを受け入れたせいか、腰が重く痛い。内臓を内からどつかれたあとの、おもだるい痛みと、落ち着かなさ。
ごろんと、三月の方へ体を返す。
三月は、じっと、大和を見ていた。少し、目の端を赤くして。必死になって大和を求めた後の、濡れた瞳。
「ふ、ミツさあ、マジで俺のこと好きなんだな。乳首とか人に触らせたことねえよ」
「あんた、まだ信じてなかったのかよ」
「や、信じてたけどさ。実感した。なんか、必死で、思いっきり……はは。気持ちよかったな」
「あ、そー……」
「ん。ひひ……はー……はは」
「何?」
「……どおしよ。嬉しいわ……」
「……そー」
「ん……ミツ、……ふふっ、ありがとな」
くすくすと笑って、三月の頬に手を添えて、撫でる。耳の後ろを指先で軽く擦って、揺れる三月の髪を、指に巻いて……。
上機嫌に、たわいない接触を繰り返す大和に、耐えかねたのは三月のほうだった。
「ああもお、あんた! ふわふわすんな! こっちは色々……無理させたから、当分はやめようって思ってッ……我慢してるんだって……!」
苦しげに眉を寄せ、赤い鼻先をひくつかせて怒る姿は、見るからに不機嫌そうでも、大和への好意に満ちていた。
また微笑みが漏れる。
「ミツが余裕ないの珍しいな」
「あんたのせいだっての! っ、あんまかわいいことすんのやめろよな。ほんとにオレ、歯止め効かなくなりそーだから」
「いいのに、好きにすれば」
「抱き潰されてえのかよ!? マジで……オレこんな……あー……、ほんと、……こんな好きな人と、こんなふうにできるなんて……」
「俺も、思ってなかったよ。……だから、好きにされたいんだけど」
三月の尖った唇に、指先を押し付けて、自分の唇へ運ぶ。ちろりと舐めて見せると、三月は悔しそうに、大和との距離を詰めた。
「もう一回、ちゃんとキスしたい。煽った責任取って」
「はいはい。……キスだけでいいの?」
「……無理させたくないって言ってんじゃん……」
「はは。気分良くてさ。……めちゃくちゃになるまで求めてよ。ミツにされんの、けっこー好きだわ」
★以降、ドライブデートして旅先でセックスしたり、リビングで手を繋いで寝ていたりします。
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