【新刊サンプル】星に願いを
にゅぽぽぽぽっ、ぬぽっ、ぬぽっ、ぬぐっ、ローションを足しながら、三月の指が大和の後ろを掻き回す。ベッドの上に四つん這いになって、バスローブの中に手を押し込まれていると、服の内側にどんどん熱がこもってくる。大和に覆いかぶさるようにして、三月は空いた手でバスローブの腰紐をほどいた。
「腹、冷えてない?」
手を腹部に添えられ、内側がぎゅうっと三月を締め付けたのが分かる。こんな状況でも、三月の優しい手つきや気づかいに、あからさまに反応してしまう体が悔しい。
「んっ、入れる、前に聞けよ、っふ……」
「ナカはすげーあったかくて、締め付けてくるけど」
「る、さ、ぁっ……ァ、ぁ」
さっきも吐いた憎まれ口を繰り返し、大きく息を吐く。
ミツの目がやばい。
手のひらもめちゃめちゃ熱いし、何より……。
視線をちらりと後ろに──後ろにいる三月の股間の辺りに下ろす。
ボクサーパンツの中で、凶悪なものが、窮屈そうに持ち上がっている。絶対苦しいだろ、アレ。ていうか今から、アレを、ここに……。
息が震えるのを隠そうと、枕に頬を埋めると、三月は大和の耳元に顔を寄せてきた。
「なあ、さっき風呂で、準備しながら感じてただろ」
逸った声。
「大和さん、さあ」
すぐにでも大和の中に入りたいくせに、執拗に大和の中を指でほぐす男の、欲求を耐えて抑え込んだ声が、大和の名前を呼ぶ。
「ここ、掻き回されるの、想像した?」
囁きを、微笑で返した。
「ふ。……ミツこそ、ぱんぱんじゃん。俺に何するか、期待して待ってたんだろ」
大和の指が、三月の腰の骨の辺りをなぞって、下着のゴムにかかる。ぐっと引っ張られ、開放感に大きさを増したものを、大和は指を離してまた閉じ込めた。
「脱がねえの?」
「我慢できなくなりそうだから」
にやついて尋ねる大和に素直に答えると、大和はさらに目尻の皺を濃くして、シーツに頬を押し当てた。
こうやっていきいきした、年上らしいからかいの表情を見せる癖に、三月のものを見下ろす視線は湿っている……。大和の内壁が、ぎゅうっと少し強く三月の指を締め付けたのを、三月もまた、さっきより下腹部を熱くして感じとった。
「ミツ、早いもんなぁ?」
「オレがイく頃には3回はイってる人が何言ってんだよ……」
「おまえさんの前戯がしつこいからだっての……。そんなにトロトロのとこ入れたいわけ?」
「そうだよ。ドロドロにさしてやりてえの。……どう? レビューできる?」
掛け合う間にも、三月の指が、大和の内側を捏ね回す。
圧迫感に、声が上ずった。
「やっ……ぁぅ、っ、いつも通り、気持ちいいです……」
「いや、オレのじゃなくて、ローションのレビュー……」
「あー、そっち……っ、ん……もうちょっと粘っこい方が好きかも……っ、は、一回手、止め……っろよ、っアッ」
これ、レビューのためにって意識すると、余計に中いじられてんの感じる……。大和の目尻が濡れ始めたのに気づき、三月はじっと大和を見つめたまま、手を止めた。
「……これも湿りけあるけど、粘ってるほうが圧迫感あって、ずっとミツのが中に入ってる感じがして、好きだわ……」
「……そ、そっか。なんか、改めて言われると……」
「レビューにコメントすんなっての。……星二で」
あ、二つけるんだ。そんくらい、オレの指が入ってる感じがすんの、好きなんだ……。思わず、三月の喉が鳴った。ごまかすように、大和の中にローションを足す。
「ぅっ……ん」
黙り込んで大和の後ろへ指をすすめる三月に、大和も気まずくなったのか、荒く息を乱しながら、ベッドの上に散らばったアダルトグッズを点検し始めた。
「っは、これっ、使いたいやつ並べてあんの……? な、んかぁっ、エロいの、ばっか……あぁ!」
三月の指が、好きなところを掠めたらしい。大和が大きく喘ぐ。
「ここ?」
「あぁあ! っぅ、う、そこばっか……やっ、めろ、ぅあ、ぁあッはぁ……アッ」
逃げるように動いた大和の腰を、三月の掌が追って、掴む。熱い手に強く腰骨を掴まれたことで、痺れが走ったらしい、大和が涙声であえぎ、三月をにらんだ。
「エロ、ガキ」
「……おっさんに言われてもな」
かちん。
三月の眉が上がったのを、大和は眉を思い切り顰めて見つめる。
やばい、怒らせた。
三月は、指を大和のいいところに押し当てたまま、ベッドの上を物色した。
「レビューしなきゃ出らんないってんだからさ……どれから使おっか?」
「ん、えぇ? ぅ、んん……っ」
「選べない?」
さっき約束したやつからがいい? 尋ねながら、三月の指が、電マのスイッチをあげる。
激しい振動がベッドに響き、押し付けた大和の胸にも伝わった。
「ひっ! ……っぅ、ふ……ミツの、っやりたい、やつ……っう、から、ぁ」
「じゃ、一個ずつ使ってこっか」
三月が微笑んで大和の頭にキスを落とす、頭皮に触れる柔らかな熱の感触がむずがゆい。三月が唇をおしつけるたびに、あばらの内側に痺れが走った。
「あ、……あ、ぁっ」
「ゆっくりしような」
わざとらしく耳に唇を近づけ、ひくくささやく。こういうときの三月は、大和を追い立てる喜びが理性をねじ伏せ、本能のまま責め尽くしてくるから、たちが悪い。
「……あ、あの、お手柔らかに……ッ」
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