キスおねだり可愛い選手権 2 【陸編】
「わー、もう恥ずかしいよ」
『えーー!うわ、うわ陸めちゃめちゃかわいいじゃん。普通に好みなんだけど』
『アクセサリーがリングだけなのも、七瀬さんらしいですね』
『わかる、スニーカーにくるぶし丈靴下なのも分かってるよな』
『早速靴下に目がいく大和さんって』
『悪かったよ!で、ナギの反応は?』
「My fair lady……」
『跪いて手を取ってキスだよ……』
『ブレませんね。さすがナギくん』
「な、ナギ、どうしようこんな、絶対似合ってないよ」
「いいえ。リクはどうかその姿でいてください。あなたに出会うためにワタシは今日ここに来ました」
『ミツの回しか参加してないナギが言うと真実味が違うな』
『あとで説教しとく』
『手を取ってキスしていますけど、ねだるサイドからのキスも有りなんですね。思いつかなかったな』
『ナギ合わせのルールだと有りにせざるを得ないよな』
「あ、あのさナギ、メイクさんに言えって言われたんだけど。このTシャツに書いてあるの、どういう意味?このhonestっていうのはSakuraMessageに出てきたから分かるんだけど」
「あとでイオリに教えてもらいましょう。ワタシはリクの望むままに。願わくば、この唇に祝福される一人の幸福な男にされたいですが」
「えー」
『いおりん、どゆこと?』
『罰ゲームと本気どっちがいいか、という質問で、六弥さんがはぐらかしました。七瀬さんはよく分かっていないので笑っています』
『陸くん、初めて会った時、ナギくんの「nineteen」って歳を年下だと思っていたもんね』
『そーだっけ?りっくんいっぱい本読んでて色々知ってんのにな』
「でもなんか、こうしたいみたいなのナギから言われたら、オレなんでも聞いてあげちゃうかも!」
「Wow!それはとてもスペシャルな提案ですが、何故です?」
「だって、ナギいつもオレたちのために色んなこと気にしててくれるだろ。オレもナギに何かしたいんだ」
「……リクは不思議ですね。ワタシたちに力をくれる」
「オレ、アイドリッシュセブンのファンだから」
「ワタシもですよ!……ではリク、ファンサービスを頂いても?」
「もちろん。キスしたらいいんだろ!」
「No、違います。ワタシたちのために、あなたは幸せに笑っていてください。それで十分です」
『え、キスしてもらえばいいじゃん』
『ナギ紳士だなー。いつもとえらい違い』
『それだけ七瀬さんの女装の完成度が高いということですかね』
「それ、オレが嬉しいと、ナギも嬉しいってこと?」
「That’s right!その通りですよ」
「オレもだよ!ナギが嬉しいと、オレも嬉しい。ねえ、だからして欲しいこと言って!」
「Hm……でしたら、あなたの隣に腰掛けても?」
「もちろん!」
『ナギ全然おねだりしてないけど、いーの?MCのミツさん』
『これを見ててくれてる女の子たちがときめいてくれたらアリです』
『いおりん、俺んとき、王様プリンで買収してもいーよ』
『それはときめかないのでアウトですね』
「Oh、リク。靴ひもが解けていますよ」
「えっ?ほんとだ、さっき結んだのに、両方?えっと、よいしょ……」
「片方はワタシが結びましょう」
「……ナギ、顔近いよ」
「ふふ。キスしたくなりましたか?」
「えっ、今?えーと、顔きれいだなって思った」
「リクは正直ですね。ワタシは、キスしたくなりました」
「ええっ、なんで」
「リクの一生懸命なところを愛らしく思うのです」
「……そ、そう」
「リク。貸して」
『急に真剣な声出すじゃん……ナギほんと顔いい』
『ナギっち靴ひも結ぶのめっちゃはえーな』
「え、と、あ、ありがとう」
「ではお礼に、一度だけ、唇を合わせてください。あなたのキスがワタシを幸せにします」
『クーリングオフ詐欺のような手口ですね』
『く……?ナギっち詐欺師なん?』
『ああいう誘われ方をしたら、女の子はときめくと思うな』
「あなたが望むのなら、ワタシはあなたの召使いにも恋人にもなりましょう。それだけの力が、あなたのキスにはあるのですよ」
「……オレのキスで、ナギは幸せになるの?」
「Yes。試してみますか?」
「……うん」
チュッ
『終了!ナギさっき屈んだ時に陸の靴ひも解いてたんだよな?』
「え、そうなのナギ!気づかなかった!」
「ワタシとリクを結びたい妖精のイタズラですよ」
『お二人共、戻ってきてください。七瀬さんはその衣装のままで構いません』
「え、オレは構うんだけど……」
「ではワタシがエスコートしましょう。お手を、リク」
「うわ!ナギってほんと、どこかの国の王子様みたい」
「ワタシは全てのLady達の王子ですよ」
『たしかに詐欺師っぽい発言かもしれない』
「What?ソウゴ、そちらでなんの話しをしていたのですか!?」