キスおねだり可愛い選手権 2 【陸編】


「一織!甘い匂いする、それ何?」
『陸、しっぽ見えるな』
『1人でソファーに座って待つのはちょっと寂しいですよね』
『部屋、広。ベッドあんじゃん、寝てー』
『環くん、番組中に寝ちゃダメだからね』
「温かいココアを貰ってきました。飲みますか?」
「うん」
「隣に座っても?」
「いいよ」
『なるほどな、イチがスタッフさんにさっき頼んでたの、これか』
『緊張している時に暖かい飲み物は嬉しいですよね。先に飲み物を許可させれば、隣に座る許可も取りやすい。人心掌握が上手いですね』
『なんだかんだ一織、陸のことよく見てっからなー』
「一織のぶんは?」
「あなたの分だけ貰ってきたので」
「一口いる?」
「いただきます」
『えー、そこは口移しねだるとこじゃねーの?』
『高校生に何言ってんだよ。一織こうやって距離つめんのか、兄ちゃんなんかニヤニヤしてきた』
「熱っ」
「え、そうかな?火傷した?」
「いえ。フーフーして飲みます」
「……そうやって冷ましてるとき、キスするみたいだよね、唇」
「! ゴホッ、ゴホッ、ごほ」
「うわ、ごめん!大丈夫!?」
「何を言っ、ゴホッ」
「そういう企画だろ?早くおねだりしてよ、調子狂うじゃん」
「趣旨と逆じゃないですか……ねだれば、してくれるんですか?」
「え」
「経験の少なそうなあなたを気遣っていたんですけど。してくださるんですか?」
「えっと」
「私はもう用意出来ていますよ。年上のあなたが、リードしてくださいね」
「ちょっ……」
『うわ、一織くんすごいな。陸くんのココア取り上げてテーブルに置いちゃった』
『これもうリク逃げ場ないじゃん。高校生怖い』
『見つめ合う〜!やーだめ、なんかオレ見てらんない、父さん母さん、一織大きくなったよ』
『みっきー授業参観じゃん』
『……無言だな』
『無言ですね。陸くんが照れてココアに手を……出そうとして手を取られてますね』
『うわー!うわー!一織ー!兄ちゃん見てるぞー!』
『ミツめっちゃ顔赤いんだけどww』
「だめですよ。ココアはキスをしてからです」
「なっ」
『やばい、おねだりってこういうもん?お兄さんドキドキしてきた』
「リードしてって言ったくせに」
「言いましたね。ほら、してみせてください」
『いおりんイライラしてね?』
『イチも耳赤いし、恥ずかしいんだろ』
「一織そういうとこ可愛くないよな!可愛くない!」
「可愛いなんて思われなくて結構です」
『あ〜、フライアウェイしちゃった、もう終了だなこれ』
『あと5秒〜』
『嘘だろ!一織がんばれ!うーんでも見たいような見たくないような』
『……2、1!終了です。一織くん、お疲れさま』
「あなたが駄々をこねるから失敗したじゃないですか」
「へへー、オレの勝ち! 一織もがんばったんだけどな、ドンマイ!」
「なんで上からなんですか。先が思いやられますね」


「いおりん、おかえり。なあ、みっきーやべえ」
「えっ、兄さん泣いてるんですか」
「ほっといてくれ……なんか兄ちゃん、色々こみあげてきちゃって」
「兄さん……」
「企画外のとこでイチャイチャしないの。次俺だよな?行ってきますか」
「ヤマさんは何路線で行くん?」
「んー。オトナのお誘いかな?」

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