キスおねだり可愛い選手権 2 【陸編】


「環」
「りっくんこっち来て。動画観よ」
『いきなりベッドに誘う!環はほんと物怖じしねえな』
『そういえばさっき寝たいと言っていました、そういうことだったんだね』
『2人でスマホを覗き込んで……何かのPVを観るようですね』
『スマホってのがミソだよな、画面小さいから密着するし。タマ、上手いな』
『このイントロは……!環くんそれはダメだ!』
『壮五?えっこれって』
「これ……前にMEZZO”のラジオでやってた!」
「りっくん、好きって言ってただろ」
「好き!ちょっとだけ冷やかしてみてもいいかな!」
「「キッス!キッス!キッス!キッス!」」
『ヤ○いTシ○ツ屋さんだ〜!これはひどい!』
『ひどいwww大和さん直球やめたげてwww』
『ほのぼのし始めましたね……キスの空気じゃないですが』
『2分じゃ終わらない曲だよ。どうするんだ環くん』
「あれ?止めるの?」
「うん。りっくん、どー?キス、したくなった?」
「うーん、楽しかったけど、そういう気分にはならなかったな」
「そっか」
「……………………環、何か言ってよ」
『……うわー!ずりぃ!こいつ顔がいいからって無言でリクの顔見つめだしたぞ!』
『環くんはどこでこういうの覚えてきたのかな?いつも少年漫画ばかり読んでいるのに』
『残り時間40秒!どうするのか!』
「へへっ。なんか、楽しそーだったり、照れたり、ころころ表情変わって、りっくん、かわいー」
「なっ……」
「キス、しなくてもいーや。なんか楽しかったし。続き再生すんぜ」
「う、うん……」
『このまま動画を見るだけで終わりなのかな』
『いえ、七瀬さんが何やらまごついています。しなくていい、と言われるとしたくなるもの。もしかして──』
「環」
「ん?」
チュッ
「……へへ。りっくんの負け」
『はい終了〜!二人ともお疲れさん!環スタジオ戻って〜!』
『陸くん、どうだった?』
「悔しいけどかっこよかったです!環ずるい!」
「ずるくねーし。りっくんが弱えの」
『ということで環一勝!次は壮五が行くからな!』
「こんなんで俺、大丈夫なのかな……」
『ところでこれ、僕が成功したら環くんと間接キスなんですよね?』
『ソウその顔はどっちなの?ちょっとマジっぽいのやめなさい』
「ちゃんと拭いておきますよ!ウエットティッシュあるんで!」
「ばっちいもんみたいに言うなー!」


「てことで!いやー環すごかったな!最初マジでキスする気あんのかって思った」
「へへ。言ったじゃん、いけるって」
「無言で見つめるのは度胸がいりますよ」
「純粋にすげーわ。じゃあソウ、意気込みをどうぞ」
「はい。誠心誠意がんばります。よろしくお願いします」
「新入社員なの?」
「では一名様別室ご案内!行ってらっしゃい!」

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