キスおねだり可愛い選手権 3【大和編】
「今日はこの機会に二階堂さんに言いたいことがあって来ました」
『一織くんは早速隣に座るんだね』
「おう、何?ミツみたいに褒めてくれるの?」
「いえ。二階堂さん、両手を上げてください」
『一織、腕まくりしてるけど、何するんだろ?』
「これでいい?何する気なんだよ……っておわ!マジ何!?」
『大和さんのTシャツを思い切りたくしあげて!どうしたの一織くん!』
『いおりん、ヤマさんの裸見たかったん?』
「やっぱり。最近の二階堂さんの腹部は明らかにたぷついています!ビールの飲みすぎ、油っこいおかずの食べ過ぎ。不摂生をしてたるんだ体で次のライブに出向くんですか!」
『あれ楽しそう!大和さんのお腹意外と柔らかいんだね』
『明日ヤマさん起こすときあれやろーぜ』
『やめたげなさい』
「ちょっ、待って痛い痛い。指すなって。え、これなんの時間?」
「心配しているんですよ。分かりませんか」
「分かる、分かったから」
「分かっていません。心配をかけた後は、どうするんですか?」
「は?どうするって……謝る?」
「違います。……甘やかしてください」
『一織くん、顔が赤くて、すごく可愛いですね』
『ふっきったなー』
『こういうときみっきーの弟だなって思う』
『どういう意味だよ』
「何したらいいわけ」
「言わなきゃわかりませんか。いつも酔った逢坂さんにしているようにしてください」
「え、ここで吐かせるのはちょっと」
「誰が酔っ払いの介抱の話をしましたか!窮屈な服をくつろがせて、抱きしめて頭を撫でて、背中をぽんぽんしてくださいってことです!」
「分かったって。いっぱい怒っていいからな」
『うわっ、包容力見せつけながら頭撫でてきやがった』
『イオリ照れてますね』
「……そっ、そうです……やれば出来るじゃないですか」
「そーなの。俺やればできる子なんだよ。して欲しいこといっぱい言ってみなさい、してあげるから」
「では、……シャツの第一ボタン、苦しいです」
「ジレのボタンも外してやろうな。次は?」
「ソファ冷たいです。膝に座らせてください」
「マジ今日どうしちゃったのよ。おいで」
『それなりのサイズの男2人で向かい合ってお膝抱っこ、絵面的にちょっとキツいな』
『ミツキとなら余裕ですね』
『喧嘩売ってんのか』
「抱きしめて」
「はいはい。で、背中ぽんぽんな」
「……はい」
『一織、完全に酔った壮五をなぞってるな』
『壮五さんの方がもうちょっと強引だよね。たーくんぎゅーは?してくれなきゃお水飲まないー!みたいな』
『え、僕こんななんですか。みんなの前でお酒飲むのやめようかな』
『おせーよ。そーちゃんの酒癖しらねーやつ、もうこん中いねーから』
「……喉が乾きました」
「さっきまでお兄さんが飲んでたコーラでいい?グラスのそっち側口つけてないから」
「……ごちそうさまです」
「もーいいの?」
「はい。もういいので……キス、してください」
『えっ、おねだり早い!』
『いたたまれなくなったんだろうな。でもそういう弱みを見せると……』
「んー、もう一声かわいさ欲しいな」
『大和さんはからかいモード発動してくんだよな。あの人年下のことオモチャと思ってる節ない?』
「なら、もういいです」
『一織くん、むすっとしてしまいましたね』
『あんなふうに唇尖らせて怒る一織珍しい。いつもはもっとガミガミ怒るのに』
『な。今日も怒ってた。よつばさんテスト中に寝ないでください、追試になったら仕事に遅れますよ』
「あなたは私が可愛くないんですね」
「可愛くないっつか……」
『ほんとに壮五見てる気分』
『僕ほんとにあんな面倒臭いんですか?』
「コーラなんて飲まなければよかったです」
『一織、本当に悔しそうだな。陸までほとんど成功してるしな』
『口元を手で隠して、泣きだしそうに見えますね』
「わざわざあなたに飲み物をねだってまで、唇をあなたの好きな味にした私が、ばかみたいじゃないですか」
『そういうことだったのかよ!あー、大和さんもこれはもうするしかねえな!一織の手つかんで、口から離させて……』
「……イチは健気で、ちゃんと可愛いよ」
チュッ
『終了〜〜〜〜〜!大和さんやっぱ年下に弱い!』
『一織、なんで上着預けたの?』
「苦肉の策です。腕の内側に、私の好きなスタイリッシュな文房具のシールと、そうではないうさみみフレンズのろっぷちゃんのシールを貼っておいたんです。二階堂さんの顔越しにこれを眺めて、百面相の恥ずかしさを誤魔化しました」
「袖まくったり下ろしたりしてたのそれかよ。お兄さんのこと見てくんないの、一織くんってばひどぉい」
『一織、心底ウザいみたいな顔やめなさい、カメラの前よ。大和さんもウチの子いじめない』
『ヤマさんじゃなくてカマさん?ウケる』
「ま、イチはこういう機会じゃなくてももうちょっと甘えなさいね。せっかく年上ばっかのグループなんだから」
「……みなさんが、私が甘えられるほどしっかりした大人なら、問題ないんですが」
「おっとこの子やっぱ可愛くないぞ。ミツ癒して」
『はいはい戻ってこいな』
「おかえり一織!はい、上着」
「ありがとうございます」
「やー一織おつかれさん!成功おめでとう!……あれ?てことは今回の失敗、壮五だけ?」
「お恥ずかしいです」
「そういう時の罰ゲームどうすんのかな。……あっ、壮五が口説き文句言いながらキスして、ポイントアップか据え置きかは大和さんが決めんのね」
「Show点みたいだね!」
「お昼の某大喜利な。果たして壮五は座布団、もとい1ポイントを獲得できるのか!制限時間は15秒!早速キスしてもらいましょう!二人、前へ!」
「早ぇな……押してんの?」
「スタッフがローリングアームです。ではソウゴからヤマトへの渾身の口説き文句!three,two,one……」