キスおねだり可愛い選手権 4【壮五編】
「あー、疲れた!ソウ、シャンパンでいい?お兄さんベッド借りるわ」
「どうぞ、僕は使いませんから」
「さんきゅ。て、誘ってんだけど。一人で飲んでもしょーがないでしょ。ソウも来なさい」
「えっと……はい」
『自然な流れでベッドに誘いましたね』
『ほ、ほんとに大人の時間だ……』
「乾杯な。お疲れさん」
「お疲れ様です……収録中に飲むなんて、いいんでしょうか」
「いーのいーの。酒なんて、悪いことしてっからうまいんだって。……お、うまいなこれ」
「本当……あっ、これ!アルマン・ド・ブリニャックじゃないですか!?僕の好きなアメリカのヒップホップアーティストが愛飲しているんです」
「あー、ソウ辛口がいいかと思って、ブリュットって書いてあるやつ適当に選んだから、分かんないけど。喜んでもらえてよかったよ」
「はい!とても嬉しいです!」
『壮五さん嬉しそう!』
『推しを感じる、幸せな時間です。あのシャンパンも高級なものですよ』
『マジ?オレも飲みたいな……おっさんがビールじゃねえって珍しい。度数高めで酔わせに行く作戦か』
『逢坂さんはある程度飲まないと最終形態になりませんから、番組的にセーフなラインで踏みとどまって欲しいですね』
『ああなったそーちゃんの相手まじで地獄だから。ヤマさん恨む』
「ソウ、タマはソウの唇を裸にしたいんだって。つやつやで可愛いのが嫌みたい。なんでだろうな?」
『は?!そんな言い方してねー!』
『だいたい言ってましたよ』
「俺だけのそーちゃん、って思ってんのかな。可愛いよな」
「環くん、たまにそういうところありますよね。王様プリンさんのぬいぐるみも、毎朝抱きしめて離さないんですよ」
『ふざけんな……』
『MEZZO”ファンの皆さんに喜ばれそうな話ですね』
『うーん、つか、大和さんの口説き方、アレに似てる』
『息子を褒めて未亡人に近づく結婚詐欺師の手口ですか?』
『……大和さんには悪いけど、それ』
「裸にされちゃった?」
「……されたかも、しれないです」
「お兄さんも、タマに同意だな。もうこんなに着込んじゃって……お兄さんの前では脱いでくれない?」
「それは……」
『うわ……自分の唇触ってみせんの腹立つな……あの演技派のどのへんが可愛いんだよ』
「ソウ、前髪下ろしちゃったの。上げてんの、グッときたのに」
「環くんが……この方が好きだって」
「今は俺のこと見てよ。酒より、ソウに酔わせて?」
『髪へのさりげないタッチから頬へ……二階堂さん、恋愛ドラマの仕事も来そうですね』
「……どんなふうにしたら、僕に酔ってくれるんですか?」
「自分で考えてごらん。ここまで話してきた内容で、ソウなら、もうわかるでしょ」
「ずるいな。大和さん、目を閉じてください」
「はいよ」
チュッ
『終了ー!おい大和さん!可愛くやれよな!』
「可愛かったでしょ、ソウが」
『エロすぎて環と陸が黙っちまってんだよ。さっさと帰ってきて慰めてやれ!』
『や、大和さん、すごかったです!』
「え〜、リクもタマも可愛いな。お兄さんがキスしてやろうか?」
『二階堂さんの回はもう終わりましたよ。逢坂さん、次は兄さんですから、安心してください』
「うん、ありがとう一織くん」
「安心って何。お兄さんじゃ不安ってこと?」
『役柄の幅が広がりそうだな、ということです』
『ソウゴ、少し顔が赤いですね。酔いましたか?』
「このくらいなら、まだ平気だよ。飲みやすくておいしいから、三月さんとも飲んでみたいな」
『そーちゃん、別に俺そーちゃんの裸見たくねーからな!』
「分かってるよ。でも、環くんのことを持ち出されたのはクラっと来たな」
『ちなみに、逢坂さん的に二階堂さんのパフォーマンスはどうでしたか?』
「すごくよかった。年上らしい強引さも見せながら、こちらの出方に任せてくる挑発的な余裕も、大和さんって感じだったよ。またファンが増えちゃうんじゃないですか?」
「あー、そういう品評は恥ずかしいからいいって……お兄さんもう戻るから。ソウ、あと1人がんばれよ」
「はい!ありがとうございました!」
「最後の1人は三月!意気込みは!?」
「んー、オレらしく!かな。全力でぶつかるのはオレの得意分野だし、行ける気がする!」
「ソウ、俺たちらしい感じに弱いみたいしな」
「解釈の合う公式供給はオタクの生き甲斐です。ソウゴの気持ち、分かりますよ」
「つまりどゆこと?」
「ソウゴはワタシ達を愛しているということです」
「えへへ!オレも壮五さん大好きです!」
「では兄さん、スタンバイお願いします」
「おう!オレも唇ツヤツヤにして帰ってくっから、期待してろよ!」