キスおねだり可愛い選手権 4【壮五編】
「壮五、悪い!」
「え?」
「オレとの時は、酒なしでもいい?酒の勢いだって思われたくなくてさ」
「構わないですよ」
「せっかくシャンパン勧めてくれたのに、ごめんな。ありがとな!あっ、座ろうぜ!ほい、お茶」
「わ、すみません、ありがとうございます」
『ミツキ、gentlemanですね。それでいて、湯呑みを取るためにはミツキの傍に座らなくてはならない絶妙な位置に誘導しています』
『どこかの結婚詐欺的な買収屋さんとは違いますね』
『結婚詐欺って何の話?ミツのことになるとこいつら当たり強いんだよな』
「壮五に改めてキスねだるとかさ、ちょっと緊張しちまうんだけど」
『三月ほんとに照れてる。こっちまで照れてきちゃう!』
『りっくん、みっきーと同じくらい顔赤え。つかそーちゃんも顔赤くなってきてる』
『兄さんが逢坂さんの飲酒を止めてくれて良かったかもしれませんね』
「壮五になら、他の奴らに言うより気が楽かも。茶化したりしないで聞いてくれるだろ?」
「そんな……ありがとうございます」
『2人して膝ぴっちりつけて居住まい正して、初々しいねえ。ソウが美人さんだからマジそういうドラマ見てる気分だわ』
『距離を適度に保ったままで目を見つめて……兄さんの真剣さが伝わってきます』
「オレさ。そうやって、誤魔化したり逃げたりしねえ壮五のこと、すげえかっこいいと思ってるぜ!すぐ抱え込むところはちょっと、もっと頼ってくれよって困っちまうけど、支えられるようにオレらも頑張るよ」
『わかる。そーちゃん、言うの下手すぎ。レポートとか読む気起きねえし』
『環はあんまり本読まないよな』
『ずっと机に座って本読むの、飽きる』
「……恥ずかしいけどさ。ちゃんと、言うから。聞いてくれよ」
「はい」
「オレ、壮五に……」
『ミツキ、咳払いしました……緊張しますね』
『どきどきする!三月〜!三月〜!』
『叫ばないでくださいよ!兄さんの声が聞こえない……』
「……キスして欲しい」
チュッ
『最短〜〜〜!開始1分で勝負を決めました!ミツ選手、頬を赤らめております!』
「うっせーぞおっさん!普通にやんのがいちばん恥ずかしいわこれ!壮五ごめんな、ありがとな!」
「いえ……最高に解釈通りの三月さんでした!こちらこそありがとうございます」
『お前さんたちは何に礼言い合ってんの?』
『やべーよみっきー、最強じゃね?』
『実際誰も敵わねえやつなんだよな』
『オレもキスしたくなりました……!』
『さすが兄さんです』
『ミツキ!ミツキ!ナイス正統派ヒロインです!冴えないカノジョが育ちましたよ!』
「何言ってっか分かんねえよ!全員、キスしたオレと壮五より興奮してんじゃんか!」
『ほんと、純情な高校生の彼って感じでドキドキしたわ。おつかれさん、二人とも戻ってこいよ』
「誰が高校生だ!おっさん、オレの回で覚えてろよ!」
「てことで、壮五が全員にキスして今回は罰ゲームなし!」
「壮五さんはオレたちのこと大好きなんですね!」
「うん。今日はとても満足度が高いよ。自分の女装って要素がなければ、何度でも見返したいんだけど」
「えー、似合ってますよ!オレ好きです!」
「ありがとう」
「順位はソウが1つ下がって、ミツ、タマ、同率3位にリクとイチとソウ、で俺、ナギ。ミツ、今回もてっぺんから最下位陣に向けて一言ある?」
「んー、そうだな。あやとりも酒もダメだろ!収録に集中しろ!」
「あやとり、タマキにあとで教えてもらいます。練習の成果はライブでお見せしますよ」
「ライブならいいとは言ってねえぞ!」
「さて、次回はなんとゲスト回です。素敵なゲストをお招きすると伺っています。一体どなたが来てくださるんでしょうか」
「ゲストの皆さん見てますかー?次はオレたちとゲストさんでキスを奪い合う?回なんだって!負けません!」
「最後なんもないのつまんないよな。タマ、ソウともう1回キスしとけば?」
「は?なんで。こいつとキスなんか、もうしねーから」
「まだ君の回も残っているだろう。その時はまた君からキスをしてもらうよ」
「そーちゃん何キレてんの?」
「MEZZO”くんは今日も超仲良しだなー。……以上、アイドリッシュセブンで『キス可愛い選手権』でした。次回もよろしくな」
「よろしくお願いしまーす!」
次回作はこちら!