キスおねだり可愛い選手権 6【一織編】

「一織！口開けて！」
「えっ、はい」
『おっ、いきなりディープなやつか？』
『大和さん、一織くんに後で怒られますよ』
『ヤマトの期待した口移しではありませんが、口になにか押し込みましたね』
「飴……」
「のど飴！小さいやつな。一織、さっき咳してたろ？アイドルは体が資本だから！」
「おいしいです、甘くて」
「ならよかった！帰ったらはちみつ湯作ろうな」
「ありがとうございます、兄さん」
『美しい兄弟愛ですね。イオリ、トロ顔してます』
『にこにこしてるよな！いつもあんな感じだったらかわいいのに』
『ミツがソファにあぐらかいてんの見てると、寮にいる気分になってくるわ。ほのぼのホームビデオになっちまうから、さっさとキスしてくんないかね』
「本当にすぐ舐め終わりました」
「だろ！で、本題。勝ちに行くべきか、兄ちゃんの威厳を守るべきか、悩んだんだけどさ……」
『三月さん、早速切り込むんですね』
「ごめん一織！」
「え？う、わっ！何を……」
『押し倒した！ミツ意外とやり手か？』
『みっきー、なんか楽しそう』
『一織も兄さんと話せて嬉しいって顔してる。いいなあ』
「一織がキスする気になるまで、いまここで、一織をくすぐる！」
「そんな……！もっと駆け引きとかないんですか？」
「ない！一織に嘘とかごまかしとかしたくねえもん」
「に、兄さん……や、やめ、あはっ、兄さん……！んんっ、や、嫌です……！」
「こちょこちょこちょ」
「兄さ……ふふっ、やめっ、ふふふっ、苦し……あはっやだ、嫌です、兄さ……っ」
『なあ、あの兄弟、本物の空気出ちゃってない？これ大丈夫か？』
『ヤマさん、本物ってなに？』
『えーっとソウ、説明しといて』
『えっ』
「い〜おり！」
「ひゃっ！ちょっと、やめてください……」
『oh！愛する兄のハグにイオリが赤くなりましたね。微笑ましい光景です』
「兄ちゃんにキスしてごらん」
「そんな……できません」
「キスしてくれたら、なんでもしてやるよ」
「なんでも？」
「おう。一織のして欲しいこと、後でなんでもしてやる。くすぐるのもおしまい。オレの、唇に、キスするだけだぜ」
『ミツキ、顔が赤いです……』
『やっぱり実の弟にキスをねだるのは恥ずかしいんだろうね。三月さんもだけど、一織くんも気まずそう……』
「どうする？」
『三月、一織の頭撫でてやってる！いいな！』
『りっくんは俺が撫でてやんよ』
『ではワタシがタマキを撫でましょう』
『こっちはほのぼのしちゃってまあ……つーか手口俺と一緒じゃね？』
『僕も大和さんを撫でた方がいいんでしょうか』
「……ここでは言いづらいので、あとで、2人で……」
「おう。一織の好きそうな形のクッキー型買っといたから、楽しみにしてろよ」
「兄さん！それ以上は言わないで……」
「言わない言わない。ほら、目閉じててやるから」
「……はい」
チュッ
「がんばったな！ありがとう、一織！」
『終了〜！カウントダウンもしないで済む早さで決まったな。ミツ、どうだった？』
「ちょっとずるかったかも。一織、ごめんな」
「いえ……クッキー、楽しみにしてます」
「アイシングクッキーと、マカロンもつけてやるからな」
「はい」
『一織、マカロン好きだもんな』
「片手で食べられて糖分補給に効率がいいからです」
『はいはい、さくさく行くぞー。ってミツもう帰り始めてんじゃん。タマー、準備して』
『ほーい』
「次は環か。一織、がんばれよ！」
「抱かれたい男ランカーですからね。手ごわい相手です。では兄さん、また後で」

「ただいまー！一織のことたっぷり甘やかせた！満足！」
「三月おかえり！」
「そりゃ良かったな。俺に散々言っといて、ミツのも脅しみたいなもんだったじゃん」
「オレのはごほうび！環もがんばれよ」
「やる気出ねー……」
「がんばれがんばれ。がんばったら、晩メシ、ハンバーグにしてやるから」
「ハンバーグ！タマキ、ナイスファイト、期待してます！」
「オレも応援してる！一織を倒してきて！」
「この番組、戦うような内容だったっけ……。じゃあ環くん、行ってらっしゃい」