キスおねだり可愛い選手権 6【一織編】


「い、一織……」
「なんですか」
「かわいいね?」
「半笑いで言うのやめて貰えます!?」
「ごめん!……かっ、かわいいよ」
「真剣に言われるのも複雑ですね……」
「じゃあどうしたらいいんだよ!」
「キスをねだってくださいよ!女装の感想はいいですから!」
「あはは、また一織からキスねだっちゃったな。いいよ。えーっと、オレにキスしても」
「そんな目を泳がせながら許可されてもする気になりませんよ……」
「どうしたらキスする気になる?」
「それは……」
『完全に陸くんのペースですね』
『ワタシの時と明らかに態度が違います。イオリ、振り回され系主人公ですか?』
「……七瀬さんはキスなんて下手そうですし、キス自体には期待していませんけど。なにか私に旨味のある提案をしてくだされば、乗るかもしれませんね」
『いおりん、ちょろくね?ちょろりんじゃん』
『リクを甘やかす流れになってるなー……リクの天然に乗せられてるのか』
『やっぱ陸、大穴だな……』
「旨味……夕飯、一織だけオムライスにしてやろうか?」
「それは七瀬さんの好物でしょう」
「じゃあ一織、何かオレにして欲しいことあるの?」
「何か、って……いえ、ないですけど」
「ないんじゃん!」
『陸、お兄ちゃんみたいに甘やかすって言ってなかったか?』
「でもオレ、一織のしたいことわかるよ。一織、兄さんに甘えたいんだろ」
『フラグ回収です!』
「ぎゅってして、頭撫でてあげる!おいで!」
「なっ……しなくていいです!」
『ふふ、かわいいな。一織くん、立ち上がって逃げちゃった』
「素直じゃないなー。いいや、オレからギュッてしにいく!」
「はっ?!いや、待って……追いかけないで!走ったら……うわあ!」
『りっくんこけたー』
『一織も毎度器用に巻き込まれるよな』
『大丈夫でしょうか……』
「痛た……ごめん一織」
「言わんこっちゃない……気にしてませんよ」
「えへへ、ありがとう」
『Oh!見事な床ドン!これは……リクのような天に祝福された天然にのみ許された伝家の宝刀、ラッキースケベです』
『Lucky sukebe……』
『はは、ナギっち、ヤマさん、発音かっけー』
『スカートの丈が長くて良かったですね』
『おっ、壮五、意外と……』
『えっ!?ちが、違います!そういう意味じゃ……!』
「……一織。おねがい、キスして?」
「……っか、ごほん、そんな上目遣いで見てもダメです。しません」
「んー」
「なにか文句があるんですか、唇をとがらせて」
「違うよ。キスするんだろ?だからちゅーってしてるんじゃん」
「……可愛い人だな」
「あっ!今かわいいって言った!じゃあもうキスするよな?おねだり可愛い選手権だもんな!」
「しません」
「する!オレがかわいいならキスして!」
「はあっ?!あなた……」
「キスして!」
「……おねだりじゃなく駄々を捏ねているだけになっていますけど」
「一織がキスしてくれないからだろ。オレ目閉じてるから!してね!」
「そんな勝手な……」
『……』
「…………」
チュッ
『終了〜〜〜!いやー、一織ー!負けたなー!』
『青春だったわー』
「私からけしかける形になってしまったのは反省点です」
『陸くん、恋愛ドラマを沢山見た甲斐があったね』
『結局、イオリがキスしたの、3人だけです』
「皆さんがちょろすぎるんですよ。七瀬さんの時も3人だったでしょ、こんなものです。ほら七瀬さん、すぐ戻りましょう」
「えっ、もう?」
「早く着替えたいので。ほら立って」
「うん……あっ一織!」
「なんです?」
「唇、ぷるぷるだった!」
『ヒューヒュー!』
「やかましいです!」

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