キスおねだり可愛い選手権 7【Re:vale編】
《壮五の部屋》
「あっ千さん……って寝てるし」
「ああ三月くん……寝てないよ、目を閉じてただけ」
「完全に寝る気でしたよね、しかも壮五のベッドで……。寝る前に、キスして貰ってもいいですか?」
「いいよ。三月くんのそういう仕事を忘れないところ、僕好きだし」
「ありがとうございます」
「……でも一つ、取引をしようか。キスの前に取引をするのが君たち流だよね」
「オレたち流っていうか、大和さんが始めたんですけど……」
「大和くん、そういうの好きだよね。じゃあ、僕は今から寝るから、ナギくん連れてきてよ。王子様のキスで目覚めるのがどんな気分か、興味あるんだ」
「いいですけど……あいつ千さんにキスできるかな……」
「させるさ。ナギくんだって、仕事を失いたくはないでしょ」
「何する気ですか!?」
「ちょっとしたゲームだよ。三月くん、おいで」
「あ、はい……」
チュッ
「甘いな」
「あっ、そうでした。ユキさんも食べませんか?パンケーキと、蒸しパン作ったんですよ。ついでに持ってきます。ナギ連れてくるまで、寝ながら待っててください」
「……三月くん、僕の事務所に来ない?三食昼寝付きで雇うよ」
「ちょっと、人の兄を勝手に引き抜かないでください」
「お!一織。おねだりがんばれよー!」
「はい」
「何も三月くんだけ引き抜くつもりは無いよ。一織くんも一緒においで」
「行きませんよ。千さん、不埒なことをするじゃないですか……」
「いい響きだね。このまま放送されたら、僕は明日には事情聴取を受けていそうだ」
「あ……!単に千さんが後ろから私のお尻を揉んでくるだけですから。深刻な話じゃありません」
「今、いい感じのテロップ出てそうだよね。ネットミームになりそうだな」
「あの、宇宙をバックにした猫ちゃんのようにですか?」
「そうだね。君は猫ちゃん。猫耳つける?」
「つけません。……千さん、あしらい方が雑じゃないですか?眠いんでしょう」
「そうね……モモに起こされて、目が覚めたら大和くんの部屋にいたから……」
「そんなところに悪いですが、私にキスをして頂きます」
「おっと。おねだりじゃなく、決定事項なんだ」
「そうです。以前、千さん、おっしゃっていましたよね。弟が欲しいって」
「言ったかな」
「フォトブックの企画で私にインタビューしてくださった際です。ですので、キスしてくだされば、千さんに、弟……というか、弟のような人を作る方法をお教えします」
「一織くん。赤ちゃんってどうやって生まれるか知ってるかな」
「知っ……、……ご自分から事情聴取を受けたいんですか。とにかく、キス、していただけますか」
「そうだね。じゃあ、目を閉じて」
「……」
パシャッ
「ちょっと!キスするんじゃないんですか!?」
「素直に目を閉じちゃうのが可愛くて」
「そういう企画でしょう!?目を閉じろと言われて閉じないでどうやってキスするんですか!」
「それは色々やり方があるよね。映画とかで見ない?キスシーン」
「キスシーンのご教授は別の機会でいいですから……!」
「別の機会を作ってくれるんだ。情熱的だね」
「ああもう……、画像消してください」
「その前に、キスのおねだりはいいの?5秒くらいかな、残り時間」
「……わっ、私にキスしてください!!」
チュッ
「真っ赤になって可愛いな。ちなみに、ファーストキスってやっぱり陸くんだったの?初回の」
「知りませんよ……キス、ありがとうございました」
「あえて事務的に振る舞う感じ、いいよね」
「先輩と後輩なんですから、当たり前でしょう……!」
「あー!ゆきりんいた!ももりんと間接チューして!」
「それ、拒んだらモモが悲しむじゃない。悪い子だな」
「さっきももりん喜んでた」
「かわいいよね。普段、もっとすごいことしてるのに」
「あなたがたが言うとどこまで本気か分からなくなりますね……」
「全部本気だよ。環くん、猫耳は好き?」
「にゃあこ?好き」
「じゃあつけようか」
「ん」
「あなた、抵抗とか葛藤とかないんですか……」
「ご褒美欲しいじゃん。絶対プリン1000個もらう」
「食べ切る前に期限が切れますよ。なまものなんですから」
「一日100個食うからいい」
「そういえば、一織くん。弟を作る方法、聞いてもいいかな」
「……四葉さんに、プリンを買ってさしあげれば、たいていの頼みごとは引き受けて貰えますよと……」
「へえ。じゃあ、環くん、プリン買ってあげるから、一織くんとキスしてみて」
「え!?千さん!?」
「いおりんと?それよりゆきりん早くキスしてほしいんだけど」
「一織くんとキスしたら、キスしてあげるよ。一織くん、環くんとキスすれば、さっきの写真を消してあげよう」
「な……面白がってますね……」
「プリン……いおりんとキス……プリン……」
「四葉さん。キスしましょう。私たちの目的は一致しています」
「そうなん?」
「そうですよ。あなたが私にキスすれば、私は不名誉な画像データを抹消できますし、あなたは千さんからキスされてポイントを獲得し、ご褒美にありつけます」
「たしかに」
「そうでしょう?キスするべきです」
「じゃあいおりんキスして」
「えっ」
「いおりんが俺とキスしたいんだろ」
「四葉さんが私とキスしたいんでしょう……プリンが欲しくないんですか」
「プリンは欲しいけど、いおりんとキスは別に、したいわけじゃねーし、無理だし」
「無理って……私だって嫌ですよ!同級生に自分からキスなんて。明日からも毎日顔を合わせるのに」
「は?嫌ならキスしようとか言うなよ。俺かわいそーじゃん」
「そういう企画でしょ」
「そういう企画じゃねーし!俺は!ゆきりんとキスしてーの!」
「だから、その千さんが私とキスしないと四葉さんにキスしないと言ってるんじゃないですか」
「キスキス言ってて分かんなくなってきた。ナギっちがいつも俺らにやるやつもキスじゃん」
「あれはエアキスです。海外の挨拶で、頬を合わせるだけなので、今回の企画で言うキスには当たりません」
「ほっぺじゃダメ?」
「はい。口と口でキスする必要があります」
「口と口でキスとか言うなよ。いおりんのエロ」
「あなたが訊いたんでしょ!?」
「すごいね、こんなにずっと話してるのに、話が進まないの、高校生の無為な時間って感じだ。あ、壮五くん、このCD持ってるんだ。プレミアついて高いのに」
「ああほら、千さんが飽きてしまったじゃないですか」
「ゆきりん!仕事だぞ!ちゃんと見てなきゃダメだかんな!」
「そうね。早くキスしないと、持ち時間無くなっちゃうよ」
「は!?せかされんの?」
「千さんに会ってから2分以内に千さんにキスされなきゃなりませんからね。ほら、早く私にキスしてください」
「2分過ぎたらどうなんの」
「……プリンはもらえず、千さんともキスできません。私にキスせずに済みますが」
「……ふーん」
「ちょっと!あなた、キスしない気ですか!?」
「えーと……ちょっと目を離した隙に、オレの弟が猫耳つけたメンバーと修羅場になってるんですが、千さん」
「不思議だよね」
「千さんがけしかけたんですよ、兄さん……」
「Hm。タマキとイオリがキスしなくてはならないのですね?」
「すげー。ナギっち見てたん?」
「見ていなくてもわかりますよ。ではこうしましょう。タマキ、あなたは勇敢なナイト。美しい姫を守る猫騎士として、あるミッションを遂げなければなりません。イオリ、『姫を返して欲しくば私にキスしてみろ』と大声で!」
「え?!……姫を返して欲しくば私にキスをしてみろ!」
「そしてタマキ、悔しそうに顔をゆがめて!」
「くっ……」
「いいですよ!その調子です!イオリ、タマキに顎クイしてください!」
「えっ……」
「そしてイオリのセリフ!『この程度もこなせないようじゃ、騎士失格だな。姫は私のものだ』」
「こ……この程度もこなせないようじゃ、騎士失格だな。姫は私のものだ」
「タマキ!にやつく魔王イオリに正義の雄叫びを!」
「うおおおおお!」
「to be continued……次回、魔王イオリ、死す。お願いイオリ、死なないで!」
「いや終わらせろ!何茶番やってんだ。ほら環、ちゃっちゃとキスしちまえって。もたもたしてっと、ナギが引っ掻き回すから」
「わかった」
「え、ちょっと」
チュッ
「よしよし。えらいぞ環。がんばったな!」
「あ、終わった?」
「千さん、やっぱり見ていないんじゃないですか……四葉さんにキスまでされたのに……」
「そうね。でも2分過ぎちゃった。残念だけど、環くんへのキスはできないな」
「えー!いおりんにキスしたのに……」
「画像は消していただけるんですよね?」
「まあ、そうね」
「……四葉さん、プリン、後で私が作りますから、あまり落ち込まないで」
「ナギも一緒に作れよ。ちょっかいかけたんだから」
「仕方ありませんね。タマキのために、容器にパーフェクトな王様プリンのイラストを描いてみせましょう」
「すごいね。お兄ちゃんってこういう感じなんだ」
「そうですね。千さんも兄として、近いうちに四葉さんを雇ってみては?」
「ゆきりんにはもー騙されねーから」
「振られちゃった。そういえば、今日差し入れにプリン持ってきたんだけど」
「まじ!あんがとゆきりん!」
「私が言うのもなんですが、四葉さん、あまり簡単にプリンで懐柔されないように……」
「怪獣?がおーって?」
「かわっ、……珍妙な動きを急にしないでください!」
「あー……プリン効果も猫耳効果も絶大だな。じゃ、チャレンジ終了の一織と環とオレは大和さんの部屋だな。ナギ、がんばれよ!」
「ミツキ、行ってしまうのですか!?ワタシをかけがえのない日常からこんな前線に引きずり出しておいて!」
「リビングで優雅にパンケーキ食ってただけだろ。収録中に紅茶淹れてんじゃねえ!千さん、よろしくお願いします!」
「うん。じゃあナギくん、僕寝るから、キスで起こしてね」
「お断りします」
「おやすみ」
「ゴーイングマイウェイ同士ってこんなに成立しないんだな……。環、一織、行くぞ」
一織 2pt(挑戦権切れ)
三月 3pt(クリア)
環 2pt(挑戦権切れ)
ナギ 1pt(挑戦権残り1回)