【同人誌サンプル】libido

3 きみに実れ

まだするんですか、と訊ねる声は、唇にふさがれ、行き場をなくして体に溶ける。代わりに抱き留めた体を、また馬鹿みたいに吸い付いて舐めて愛する。胸の先に口づけられて身をよじり、大和の頭を鷲掴みにして舌を絡ませ、そのまま首へ、胸へと口づけていく、手馴れた奉仕を、千が大和にほどこすのが、くすぐったくて、憎らしかった。
ついさっき、千の中で果てたばかりのところは、千の指先に弄ばれて、情けなくしなだれている。もう、二度目の行為が始まっていた。
はぁ、はぁと上げる吐息は荒く、薄い肩はべっとりと汗に濡れている。へとへとのくせに、大和の前に顔を埋めて口に含み、復活を促す舌は、止まろうとしない。長い髪を纏めようとする細い手首を掴んで、いま千が温めているところに置かせると、千は苛立ったように大和を見た。その瞳に、いい度胸じゃないと面白がるような光がきらめく。
「うっ……、ぁ、もう、ほんと、出ない、です」
「そう?」
千の細く白い指が、大和の尻たぶを撫で上げて、ぐに、と強くわし掴む。左右に割り広げられ、奥の窄まりを空気に晒されて、大和は歯を食いしばった。
「すぐ、元気にさせてあげる」
「いいですって」
「遠慮しないで」
「え、ひンッ」
遠慮じゃない、と抗おうとした声は、けれど千の指の侵入によって、か細い喘ぎに変わってしまう。千の指先が執拗に、大和の腹側を撫で擦る。指の腹で擽るように優しく撫でられ、大和はみっともなく腰を揺らして喘いだ。
「ぁ、ぁ、あぁあっ!」
唇を舐め、千は大和を一瞥した。
ぬぐ、ぬぐと指の腹で強く圧す方が、大和は激しく乱れるくせに、優しく腹の底を揺らされると、切なそうに瞳に涙を浮かせて千を見る。年下の、いつもは生意気に睨んでばかりの、険のある男が、しっかりと太い骨まで震わせて、力ない足でシーツを蹴りながら、救いを、解放を、一つになることを求めて、千を──。
……たまらないな。
「ぃ、っぁあ、あ、あんッ……ぐ、ぅう」
ぐぽ、ぐぽと、千の頬がわざとらしく音を立てて、大和のものを圧迫した。
恥ずかしい声に、顔に血が集まってくる。腰の下のシーツを握りしめて耐えようとしても、千の舌が容赦なく大和のものを蹂躙して、声を抑えることが出来ない。前から後ろから、否応なく高められて、押し上げられてくる快楽に、首を反らす。シーツに押し付けた額は、じっとりと汗に湿っていた。
「ひぅッ、う、ウッ、! も、……めろ、ッて……んんッ!」
憎まれ口を叩いても、大和の腰は震えた。気を良くして、千はまつ毛を下ろして大和の先端を愛でる。ちろちろと舌先で舐めて、かと思えば、あたたかな咥内に迎え入れて。そのたびに、大和は膝をがくがくと揺らした。
「う、ゥ、ッ、……ふあっ、あ……ぁう」
途切れ途切れに、どうしようもなく零れる喘ぎの合間で、千を睨みつけて歯噛みする。乱れた髪を代わりに耳にかけてやると、千は舌の奥できつく大和のものを締め上げた。千のねちっこい粘膜に包まれたものは、すでに芯を取り戻して、形を持っている。
「クソっ……」
嬉しそうに、千が目を細めて、唇を離す。離れ際、ちゅう、と先端に口付けられ、また心臓が強く打った。
「大きくなったよ」
千の美しい銀の髪が、自分の醜い欲望の影にきらめく。
挑発的で、好戦的で、たまに高いところから降りてきては下界の子どもを味わって楽しんで去っていく……千とのセックスは、ここではないどこかにいるような気持ちになる。物語の、児戯に付き合ってころころと笑う神様は、本当は村を押し流してしまえるほどの恐ろしい力を持つと、相場が決まっている。千は、そういう気配を纏って、大和の前で乱れてみせる。
「は、っ、も、疲れてるでしょ」
「そうだけど……治まらないんだ」
「あんた、どっかいかれてるんじゃねえの……」
「そうかも」
ついさっきまで大和のものを含んでいた唇が、微笑みながら、大和の生意気な口を塞ぐ。
千のものは、まっすぐに勃ちあがっていた。大和の尻のあわいを、千の硬さが、ぬるりと撫でる。
「大和くんは動かなくてもいいよ」
「んっ……、は? 俺がこっちなんですか」
「さっき君も僕に挿れてたろ」
「それは……」
ちゅう、と、また千が唇を塞いで、はなす。その間に、大和の脚は折りたたまれて、千の前に秘部をさらしていた。
熱を帯びて少し染まった頬に、凄絶な微笑みすら浮かべて、千が、大和を征服しようとする。ずっと昔、挑発的なことを言いながら、その微笑みには揶揄の色さえ浮かべなかった、掴めない男が。
大和の体を求めている。
……心臓の底が震えた。
「後ろの気持ちいいところ、僕のを擦りながら、君もずっとして欲しそうだったよ」
「っ、う、……適当、言ってんじゃ……、ぁ、あぁ……」
ため息のように、高い声が漏れる。
押し当てた先端を、その場所は、待ち焦がれたように飲み込んだ。圧迫して蠢く肉壁のなかを、強引に押し進める。こんなふうに腰を使って、力で組み伏せるなんて、他の誰にもしたことがない。とりあえず受け入れてく:れそうな女の子、ではなく、この体が良かった。
「食いちぎられそう……」
「くっ……そ、ぅう」
「全部入ったよ」
ずっぷりと千のものを咥え込んだ場所を、千の指先が愛おしそうに撫でる。ぱんぱんに張ったふちをなぞられ、大和は激しく腰を反らした。
「はぁあッ……!」
額の汗を手首の内側に拭って、また、大和の手はシーツを掴む。千とつながる腰を高く掲げて、踏ん張った脚を震わせて、それでも、千にすがろうとはしなかった。
「どこが好き?」
腰を進めては引き、また突き上げて、千が尋ねる。裸足の指でシーツをきつく掴みながら、大和は胸をくねらせた。
開いた唇が空気を求めて短く息を吸い、その後にすぐ息を詰まらせて、ぁ、と声にならない声を上げる。
千の体が、大和をそうさせている。
「言ってごらん」
頬に指先をすべらせてやると、大和は目に涙をうかべて、かすかにつぶやいた。
「奥……っ、う」
吐息混じりの声が、さらに深くへ、千を求める。押し込まれる苦しさに、涙がこぼれた。
肩につけた頬が、唾液に濡れている。少しの交接ですっかりとろけてしまうほど、大和は千の体を欲していた。
寝室の照明の、ぼんやりとした暖色が、肌に浮く汗を照らす。千の表情を一瞥した大和は、悔しそうに唇を歪め、体をひねった。
「後ろから……っ」
してほしいとも、しろとも、してくださいとも結べない、必死な要請に、つながりを緩めて応じる。大和の背中に抱きつくようにして、ぐっと腰を進めると、ふと、腿に濡れた感触が伝った。
「あ……」
「なに、っ」
「さっきの、垂れてきちゃった……」
「さっき、って」
「君が出したやつ。かき出してくれる?」

★続きは冊子でお楽しみください★

すみません!
熱視線は古すぎる作品で恥ずかしいので、冊子にのみ掲載いたします。

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